DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring

この春、いよいよ DENIME が WAREHOUSE の手で復活

ブランドが完全に終了したかと思いきや、〈WAREHOUSE〉の手により活動を再開するというデニム史上に残る復活劇を見せる〈DENIME〉が、この春ついに待望の新作を発売する。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : DENIME

〈DENIME〉と〈WAREHOUSE〉という夢のタッグがついに実現

特に90年代のレプリカデニムブームをリアルタイムで体験された世代の方にとって、〈DENIME(ドゥニーム)〉が復活するというニュースには心が躍るものがあるだろう。日本のデニムシーンにその名を轟かせる林 芳亨氏が1988年に創立した〈ドゥニーム〉は、今でも名品として非常に高い価値を持つ50~70年代のジーンズの数々を独自に解釈し、そのクオリティと空気感を今に届けることを目的にスタート。独自のレシピで開発したオリジナルのデニムは「点落ち」と言われる粒感のある色落ちに成長することで知られており、そのエイジングも〈ドゥニーム〉らしさを強く感じるオリジナリティとしてファンを多く生み出した。
林氏が同ブランドを去ってからは運営会社が変わるなどの転換期を幾度か迎えながらも、デニム業界の老舗ブランドとして長く活動していたのだが、2022年3月に突如公式サイトと公式インスタグラムを閉鎖。ブランド自体が終了したのでは?という不安は的中することになる。LIVE IN RUGGEDではこちらの記事にていち早くそのニュースをお届けしていたが、その数ヵ月後に〈WAREHOUSE(ウエアハウス)〉の手によって2023年春に復活するという電撃的なニュースが発表され、デニム好きを大いに驚かせたことが記憶に新しい。その内容に関しては以下の「併せてチェックしたい」をご覧いただきたい。
【併せてチェックしたい】
DENIME が WAREHOUSE の手により復活
両者ともにジャパンデニムシーンを賑わせてきた老舗ブランドであり、通常はライバル関係にあると言っていい立ち位置であるにもかかわらずタッグを組んだのは、恐らくこれまでの運営会社が撤退し、〈ドゥニーム〉というブランド自体が宙に浮いてしまったことに起因しているのではないかと考えられる。確認できる範囲で公式からの発表が見つからなかったため推測になってしまうが、ブランドが消えてしまうことを阻止すべく〈ドゥニーム〉の関係者が〈ウエアハウス〉側にアプローチしたか、〈ウエアハウス〉側が〈ドゥニーム〉を存続させるべく救いの手を差し伸べたのではないだろうか。いずれにしても、他に類を見ないほどの経験と技術を持つ〈ウエアハウス〉が関係するという事実は「雨降って地固まる」という言葉通りの結果になったように見える。

DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
純国産デニムが誕生してからちょうど50年を迎えるという節目の年に再始動することになった〈ドゥニーム〉。当然期待は高まる。
DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
1988年のブランド創業前にヴィンテージデニムの解析を行い、納得のいく質感に仕上げた〈ドゥニーム〉は、その後のヘヴィーオンスデニムの先駆けにもなった。

DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
古くからのファンであればご存じの通り、〈DENIME〉のブランド名は「DENIM」の語源である「Serge de Nimes(サージ・デ・ニム)」から生まれた。
DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
ブルージーンズはアメリカの炭鉱労働者やカウボーイたちに作業着やデイリーウェアとして愛されてきた。〈ドゥニーム〉には古き良き時代のヘリテージもたっぷり詰まっている。

「クラボウ」の協力のもと、渾身のデニム素材が完成

電撃的な復活を遂げるにあたり、もっとも重要な要素であるデニム生地に強いこだわりが注がれている点にも注目せざるを得ない。
新生〈ドゥニーム〉は日本の繊維製品の大手メーカーである「クラボウ(倉敷紡績株式会社)」の協力のもと、創業時にあったレシピをもとにヴィンテージの501XXで使われている生地の解析結果を再検証。ただし古いデニムをそのまま再現するのではなく、〈ウエアハウス〉が培ってきたデニム作りにおける経験値を反映させた「再現とアップデート」と呼ぶべきデニムが完成したという。ヴィンテージの糸番手が経7番×緯7番であるのに対し、経6番×緯6番にしている点は1988年当時と同様であることも、履き応えがあり素晴らしいエイジングへと成長するジーンズを作るという同ブランドの矜持が込められている。
ちなみに今回完成したデニムを使ったアイテムには、「クラボウ」の承認番号「A7052」が〈ドゥニーム〉のアイコンであるサークルステッカーに印刷されるようだ。

DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
月刊男性向けモノ・ファッション情報誌「Begin」の1993年8月号にて表紙を飾った〈ドゥニーム〉のジーンズ。当時非常に人気の高かった66モデルなどが掲載された。
DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
ちなみに「Begin」の2023年2・3月号にて、〈ドゥニーム〉のニューモデル 220A XX が「Begin Best10(BB10)」の1位に選出されるという快挙を達成。大手メディアやファッション関係者も新生〈ドゥニーム〉に大いに期待している。

DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
バックポケット付近のデザインを見ても、古き良き〈ドゥニーム〉であることがよく分かる。
DENIME Revived by WAREHOUSE 2023 Spring
「Begin」2023年2・3月号にてフィーチャーされた 220A XX の記事。各ディテールの詳細が記載されており、デニム好きにはたまらない。

「本当に良いモノ作り」を追求してほしいブランド

「クラボウ」との共同開発で生まれたデニムは、当時と同じアメリカンコットンをリング紡績したうえで常温の水にて精練されるという。これによって糸の表面は濃く染まり、中白はしっかり残るメリハリの強い経糸を作ることができるのだ。さらに専用色のインディゴでロープ染色したうえで仕上げの草木染めで深みのある藍色を強調し、ムラ糸の特徴がよく表れるように旧式力織機「GL3」で織り上げるという非常に手間の掛かるプロセスを経て作られる。まさにジャパンデニム特有の経年変化を長く楽しめるデニムであり、オーナーそれぞれが穿きこみ頻度や洗濯頻度によって理想の色落ちを追求できる逸品であるに違いない。
海外にジャパンデニムが広まるよりもはるか前から独自のモノ作りを続けてきた〈ドゥニーム〉が復活し、創業当時のようなこだわりを持って制作することは、日本のデニムシーンを底上げする原動力のひとつになるかもしれない。大げさなように聞こえるかもしれないけれど、黄金時代の〈ドゥニーム〉を知っている世代にとって、このブランドはそれほどパワーと影響力のある存在だったのだ。だからこそ、ノスタルジーだけを武器にするのではなく、ジャパンデニムのブームが落ち着いた今の時代にこそ〈ドゥニーム〉には「本当に良いモノ作り」を追求してほしいと願っている。
なお、復活第一弾となるラインナップはフラッグシップモデルと思われる 220A XX(27,500円) をはじめ、66モデルやデニムのペインターパンツなども発売予定。具体的な発売時期は本稿執筆時点では明らかにされていないが、今後情報を入手次第アップデートしていくのでお楽しみに。
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