sacai 2024年秋冬コレクション – ミリタリーとクラシックを融合させた新しい世界
異なるテイストを自在にミックスさせるハイブリッドの手法を駆使しながら、メンズ・ウィメンズともに〈sacai〉流のダイナミックなファッションを追求
大胆なフォルムとレイアリング、異なるテイストのハイブリッド
2024年1月21日(日)、〈sacai(サカイ)〉が2024年秋冬コレクションをフランス・パリで発表した。
掲げられたテーマは「United as One / One Love」。〈サカイ〉がもっとも得意とするハイブリッドの精神を最大限に活かしながら、2024年秋冬コレクションではミリタリーとクラシックの融合を試みた。コレクションのキーになるのは、大胆なフォルムとレイアリング、そして異なるテイストのハイブリッドだ。
一見してミリタリーからのインフルエンスと分かるジャケットやパファージャケットなど、アウター類はボリューム感をたっぷりと活かしながら基本的にショート丈で構成。アイテムによってはボディ下部に過剰なほどのボリュームを持たせるなどの独創的なデザインを施しながら、丈感の異なるインナーをレイヤーさせたり、ロング丈のアイテムを下に重ねることで立体的でダイナミックなシルエット作りを成功させている。
一見してミリタリーからのインフルエンスと分かるジャケットやパファージャケットなど、アウター類はボリューム感をたっぷりと活かしながら基本的にショート丈で構成。アイテムによってはボディ下部に過剰なほどのボリュームを持たせるなどの独創的なデザインを施しながら、丈感の異なるインナーをレイヤーさせたり、ロング丈のアイテムを下に重ねることで立体的でダイナミックなシルエット作りを成功させている。
阿部千登勢の常人離れしたデザインセンスとアイデア、プロデュース力
また、ボディのフロントはオーセンティックなメルトンコートやデニムジャケット、バックやスリーブにはMA-1ブルゾンといった異なるアウターをドッキングさせる手法も健在。こういった再構築手法はシーズンを問わず〈サカイ〉が以前から得意とするアイデアだが、2024年秋冬コレクションでもその技術が遺憾なく発揮されている。ボディはコンパクトなショート丈に抑えながら、スリーブは極端に丸みを帯びたシルエットを採用したデザインなどはいかにもコレクション向けに映るものの、〈サカイ〉ならこのまま店頭に並んでもおかしくはない。コントラストの強いシルエット構成もこのシーズンの大きな特徴と言えるだろう。
異なるテイストのハイブリッドという観点では、先に触れたようにミリタリーとクラシックの融合が目立つ。ダブルコートとトレンチコートを縦方向に分割して組み合わせるアイデアは、クラシックとして確立されている伝統的なファッションへの挑戦のよう。また、フロントにはツイードジャケットの要素、バックにはツイードのプリントを施したパファージャケットの要素をミックスさせる大胆な手法も〈サカイ〉らしい。いずれのデザインもハイファッションとして完璧に成立しているのは、阿部千登勢の常人離れしたデザインセンスとアイデア、プロデュース力がなせる業。異なるテイストを組み合わせても違和感を感じない理由のひとつに色のトーンを合わせている点もあるが、他のデザイナーが同じことを実行しても、これほど絵になることはないのではないだろうか。
2024年秋冬、〈サカイ〉が新しい世界のドアを開ける
カラーはホワイトやブラック、ベージュ、カーキ、ネイビーといったクラシックとミリタリーを彷彿させるベーシックな色を基調にしながら、洋服によってはビビットなイエローや淡いミントグリーンも採用。温かみのあるノルディック柄も積極的に採り入れられている。様々な色が登場しつつも、コーディネートレベルではワントーンで統一することで、洋服自体のフォルムやデザインが強調されている点にも注目したい。
〈サカイ〉2024年秋冬コレクションは、ハイファッションとストリートの融合という長く続いたトレンドも感じさせながら、クラシックの要素を掛け合わせることで新しい世界観を展開することに成功した。今シーズンもっとも注目されている “クワイエット ラグジュアリー” との親和性も高く、2024年秋冬シーズンにおいても〈サカイ〉はこれまで以上に多くのファンを魅了していくだろう。