Supreme のボックスロゴについて思うこと
ストリートファッションのアイコンであり、HYPEの象徴でもある〈Supreme〉のボックスロゴは今でもクールなのか？
Written : LIVE IN RUGGED
誰もが買えるわけではない“枯渇感”から憧れへと昇華した〈Supreme〉のボックスロゴ
ストリートファッションの世界でもっとも新品を購入することが難しいもののひとつが、〈Supreme（シュプリーム）〉のボックスロゴが配されたアイテムだ。フーディーやスウェット、Tシャツ類などアパレルコレクションはもちろん、グッズ類でもボックスロゴを主役にしたアイテムは例外なく非常に高い人気を集めており、発売と同時に即完売する。それが希少な他ブランドとのコラボレーションモデルであったり、アーカイブモデルであれば天井知らずの市場価値で売買されている。赤いボックスロゴは〈Supreme〉を知らない人であっても一度は目にしたことがあるほどアイコニックなデザインであり、HYPEの象徴であると言ってもいいだろう。
LIVE IN RUGGEDではこれまで何度も〈Supreme〉のアイテム情報やニュースを記事にしてきたので、読者の方からはもしかしたら筆者がハードコアな〈Supreme〉ファンだと思われているかもしれない。もちろんこのブランドは大好きだし、いくつか商品を手に入れてきたのだけれど、実はボックスロゴのアパレルアイテムは一度も購入したことがない。欲しいと思ったことは数えきれないほどある。でも先に述べたように新品をオンラインまたは店舗で購入することは不可能に近く、二次流通市場で掲げられているプレミア価格を目にすると少しびびってしまう（本当にこの金額を支払ってまで欲しいのか？という葛藤）。恐らく似たような人はたくさんいるのではないだろうか。
〈Supreme〉のボックスロゴはストリートファッションのアイコンであり、HYPEそのものだ。誰もが手に入れられるわけではないからこそ“燃える”人がいるし、その枯渇感こそが移ろいやすいトレンドの世界で王者として君臨し続けてきた秘訣でもある。
しかし、どんな業界でも人気が出すぎると今度は「終わった」と言われ始めるのが常。〈Supreme〉もこれまで様々なメディアやインターネット上の掲示板のようなものの中で「終わった」と言われてきた。HYPEになりすぎてダサいというわけだ。それは本当なのだろうか？〈Supreme〉は本当にダサいブランドになってしまったのか？
しかし、どんな業界でも人気が出すぎると今度は「終わった」と言われ始めるのが常。〈Supreme〉もこれまで様々なメディアやインターネット上の掲示板のようなものの中で「終わった」と言われてきた。HYPEになりすぎてダサいというわけだ。それは本当なのだろうか？〈Supreme〉は本当にダサいブランドになってしまったのか？
定番であるヘザーグレーのフーディーにカモフラ柄のボックスロゴを配したデザイン。
濃いネイビーのボディに赤いボックスロゴを配したフーディー。定番的デザインではあるものの、毎シーズン発売されるわけではないので高値で売買されている。
しっかりと織られた真っ赤なボックスロゴ。偽物も多いので、オンラインで購入する際は要注意。
ホワイトのボディにブラックのボックスロゴというモノトーンも大人気。
こちらは過去に制作された〈COMME DES GARÇONS〉とのコラボレーションモデル。ボックスロゴを再解釈した大胆なデザインアレンジで大きな話題となった。
ボックスロゴは人気が高すぎてダサい？
結論から言えば、〈Supreme〉は決して終わっていないし、ダサいブランドにもなっていない。むしろ世界的な人気を持つブランドへと成長した今もルーツを決して忘れずに独自路線を突き進む稀有な存在だと言っていいのではないだろうか。確かに人気が出すぎると着用することが恥ずかしいと感じる人もいるだろう。特にプレミア価格が付くボックスロゴを今着ることがかっこいいと思えない人も一定数いて、それは自然なことだと思う。なぜなら、ファッションは自分なりの価値観で選ぶものであり、世間に流されることはかっこよくないことだからだ。〈Supreme〉が大好きで、ボックスロゴのデザインに惚れ込んでいても、ただ着用しているだけでトレンドに流されている、またはレアものが大好きなタイプだと誤解されるのを嫌がる心理は理解できる。
しかし、その考え方が極端になりすぎると、人気ブランドの有名デザインは身に着けられなくなってしまう。分かりやすいロゴデザインはもちろん、〈CHROME HEARTS（クロムハーツ）〉のクロスモチーフのジュエリーや〈ROLEX（ロレックス）〉のDAYTONA（デイトナ）のような腕時計も、人気が高すぎてダサいものになってしまうのだろうか？言うまでもなく答えはNoだ。
ブランド設立時から存在するボックスロゴTシャツは、毎年バリエーションを増やしながら数々のカラー・デザインのものが生み出されてきた。
長方形の限られたスペースをキャンバスのように見立てるボックスロゴは、同ブランドのデザイン力を堪能できる一面も持つ。
アイコニックなデザインゆえ、アパレルだけではなく家具やグッズなどあらゆるアイテムにも流用される。
1994年のブランド設立時は今のような人気はなく、地元スケーターたちだけが知るような存在だったという。
人の評価は気にする必要がない
結局のところ、何が好きでかっこいいかは自分が決めることなのだ。世間でどんな扱いをされていようが〈Supreme〉のボックスロゴが大好きなのであれば、堂々と着ればいい。その時は全身ストリート系のコーディネートをしてもいいし、きれいめファッションの外しとして使ってもいい。自分なりの着こなし方で自由にするのが正解だ。ただし、ボックスロゴを着ればかっこよくなるという勘違いだけはしなければいい。筆者は少しひねくれたところがあるので、「終わった」「ダサい」と言う人が一定数いる今こそボックスロゴのウェアが以前より欲しくなっている。本来ファッションは人がどう思おうが自分の“好き”を表現するもののひとつではないだろうか？
無責任に「終わった」と断じる人よりも、自分なりの信念やこだわり、愛情をもって自由にファッションを楽しむ人のほうが私は好きだ。本当に洋服が好きであればきっと共感いただけると思うのだけれど、皆さんはいかがだろうか。もちろん、手に入れにくさとプレミア価格には時にうんざりすることはあるが。
