
大戦モデルのラフな縫製を誇張した FULL COUNT の WW II デニムパンツをチェック
オリジナルの特徴をしっかりと押さえながら、ラフな縫製を誇張するという着眼点でかつてないほどユニークな大戦モデルが誕生
オリジナルの大戦モデルは買えなくても、日本には素晴らしいリプロダクトモデルが存在する
ヴィンテージデニムが過去最高に高騰し、その中でもトップクラスの人気を集めている大戦モデル。大戦モデルとは、第2次世界大戦の戦時中に国からの統制によって作りを簡素化せざるを得なかったという、メーカーにしてみれば不本意なもの作りを余儀なくされた時代のジーンズのことを指す。しかし、その特徴的なディテールが後年デニムを愛してやまない人々から高く評価され、市場価格は天井知らずとなった。LIVE IN RUGGEDでも過去に希少な大戦モデルを紹介しているが、一般的な感覚ではとてもじゃないが購入できるプライスではない。でも諦めることなかれ。日本には当時のデザインやディテールを忠実に再現したリプロダクトモデルがいくつも存在する。オリジナルを現代に忠実に蘇らせたジーンズも非常に魅力的だが、本稿ではそれに加えて独自の解釈を施すことで、かつてないほどユニークなルックスを持つ一本を紹介したい。
〈FULL COUNT(フルカウント)〉WW II Model Brown Cotton Denim Pants 13.7oz Zimbabwe Selvedge Denim Indigo Blue One Washedは、同ブランドが長年追及し使用し続けているジンバブエコットンのセルビッチデニムを使用した大戦モデル。太めのシルエットやリベットなどが簡素化されたこの時代ならではのディテールもさることながら、最大の特徴は不揃いな縫製であったことを強調したことで生まれた、かつてないほどオリジナリティのあるデザインだ。


















ラフな縫製を誇張したデザインでかつてないほどユニークな大戦モデルに
〈Levi’s®(リーバイス®)〉のオリジナルの大戦モデルは、オリジナルボタンを汎用的な月桂樹ボタンに換装したほか、リベットも刻印なし、バックポケットのアーキュエイトステッチも簡素化するなど、随所に物資統制の影響が見られる。〈フルカウント〉の本モデルもそれらを忠実に再現しているのだが、人手不足で経験不足の縫子が担当したことで不揃いの縫製となっていた点に注目。ラフな縫製を協調し、糸が垂れ下がる斬新な仕様に仕上げた。それによって“ヴィンテージの忠実なレプリカ”であると同時に“モードブランドが独自に再解釈”したような尖ったデザインへと変換されており、思わず二度見してしまう逸品となっている。オリジナルのヴィンテージデニムや国産の上質なレプリカデニムに数多く見て触れてきたけれど、このアプローチはとても面白い。保守的なプロダクトを再解釈するという、ある意味で勇気のある決断もさることながら、独創的な発想をこれほどクールに構築できる同ブランドの実力が発揮された一本と言えるのではないだろうか。
ちなみにシルエットは同ブランドの定番である0105シリーズをベースに、若干股上を深く、レギュラーストレートで構築。ワンスター唐草ボタン、刻印なしリベットを備え、デニムは13.7ozの茶綿糸を用いることで、定番のデニムとは異なる茶綿特有のエイジングを楽しめるという。このデニムはシーズンを問わず快適に着用できるように最適なテンションで織りあげられているため、程よい太さのシルエットと相まってストレスフリーな着用感である点も嬉しい。なお、スレキは取り扱い店舗である「LOOM OSAKA」の別注仕様となっている。
〈フルカウント〉のWW IIモデルはLOOM OSAKA 公式オンラインサイトで販売中。価格は36,080円となる。これほどレベルが高く、オリジナリティもある大戦モデルがこの金額で手に入るのだから、ジャパンデニムはやはり素晴らしい。
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