変色するほど偏愛したライダースジャケット

元々のブラックカラーがグレーにフェイドするほどエイジングが進んだシングルライダースジャケット。まだ育成を始めたばかりの頃のドゥニーム662。エイジングの先輩と後輩のような両者を並べてみた。


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

ワルに憧れる男たちのために作られたライダースジャケット

今まで手に入れたレザーウェアの中でも、このロエンのシングルライダースジャケットには特に強い思い入れがある。購入したのは10数年前。雑誌「SENSE」に掲載されていたシングルライダースは、端的に言うと「不良の匂い」がプンプン漂っていた。ロエン自体がワルいモノが大好きな男が好むブランドなだけがあって、当時人気絶頂期に作られたライダースはまさに渾身の出来。キルティングの入るオールドスクールなショルダーラインやギュッと絞ったウエストライン。異常なほど細いアームホール。そして切りっ放しの裾。今見るとややToo muchな印象は否めないが、少なくともメンズファッションをロックが席巻していた当時は、もっともクールなライダースジャケットのひとつだったと思う。
中目黒の直営店で19万円くらいだっただろうか。当時20代前半~中盤だった私にとっては大金だ。購入してからは雨が降ろうが雪が降ろうが極寒であろうが毎日のように着まくっていた。ディアスキンなので革質は非常にしなやか。買ったその日から体に馴染む感じはシープスキンやラムレザーにも近いところがあるものの、ディアスキンはそれらよりもずっと強靭だ。引っ張る力にも強く、おまけに水分にも強いので随分重宝した。若干雨のシミが残っている箇所はあるものの、濡れることに関してもほぼ気にする必要がないレザーウェア。この極上のレザーを味わえるなら19万円は決して高くない。
以来数年間もっともヘビロテで着まくったアウターになったわけだが、あまりに気を遣わなさ過ぎてエイジングの仕方がなかなかえげつない。ディアスキンは特に水に強いのと、レザー専用の洗剤と保湿剤を手に入れたこともあり、汚れを落とすために一度洗濯機で洗うという暴挙も自ら経験。元々のブラックカラーがグレーに変色するという顛末も経験することになったが、結果的にライダースとしての凄みは4割くらい増したと思う。グレーにフェイドしてからの方が人から褒められることが増えたのも、何だか自分で苦笑してしまう。


まだ手に入れて間もない頃のドゥニーム662と。

チュードル・オイスターデイトはロックなシングルライダースにも合う。大人っぽさがワイルドさを中和してくれる良い存在になるのだ。

「他の人と被らない優越感」を教えてくれた

このロエンのシングルライダースジャケットを着ている人は今まで一度しか見たことがない(決して不人気モデルだったわけではない)。メジャーすぎるブランドよりもずっと生産量が少ないことが理由。また、世の中に星の数ほどあるシングルライダースたちと比べても随分ユニークなデザインなところも、被らなさに直結している。
個人的には自分の愛用品が他人と被る・被らないは気にしない性格ではあるが、こだわりが強くて珍しいライダースを着ているという事実はやっぱり嬉しい。優越感と言うにはちょっと大げさすぎるかもしれないけれど。
30代を迎えてしばらく経ってから、このシングルライダースに袖を通すことは滅多になくなった。飽きたからではなく、少し休ませてやろうと思ったから。この老戦士のようなディアスキンを着て歩くことがまたあるだろうか。

ITEM CREDIT
  • Rider’s jacket:Roen – Deerskin single rider’s jacket (Limited item)
  • Jeans:DENIME – 662(4 Wash & 1 soak 18 month)
  • Watch:TUDOR – Oysterdate(70’s vintage)
  • Book cover:No brand – cow leather book cover

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。