Denime 662 – 老舗デニムブランドをタイトテーパードシルエットで楽しむ

老舗ジャパンデニムの筆頭のひとつ、〈DENIME〉。ブランド創立当初から一貫してヴィンテージデニムを独自に解釈し直すことで知られているが、私はヴィンテージではあり得ないタイトテーパードシルエットを選んだ。


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

高校生からの憧れ

DENIME(ドゥニーム)〉というブランド自体への憧れは私が10代の頃(90年代後半)までさかのぼる。高校生の時にオシャレに目覚め、友人や先輩の影響でアメカジに急速にハマった。当時の世の中のメンズファッションは今よりもずっと洗練さに欠けていて、その代わりに混沌とした熱さのようなものがあったように思う。
ヴィンテージの〈Levi’s(リーバイス)〉の目を疑うような高騰。〈RED WING(レッドウィング)〉は需要と供給が完全に噛み合っていなかった。〈ROLEX(ロレックス)〉のスポーツウォッチは今よりもずっと安く手に入れられたものの、エクスプローラーIは若者の羨望を集めていた。
Goro’s(ゴローズ)〉の高橋吾郎氏はまだご存命で、原宿の直営店の行列風景は2018年の今とさほど変わりない。〈Nike(ナイキ)〉のスニーカー、Gショックのプレミア化も強烈だった。そして〈CHROME HEARTS(クロムハーツ)〉や〈GABOR(ガボール)〉といったシルバーブランドが隆盛を極めたのもこの頃だ。そのほとんどすべてに木村拓哉氏や藤原ヒロシ氏といったトレンドセッターが絡んでいたのも面白い。90年代後半のメンズファッションには爆発的に流行したモノが本当に多かったように思う。
〈ドゥニーム〉は当時カリスマ的な人気があって、私の友人もXXタイプを毎日のように穿いていた記憶がある。それは凄まじい色落ちをしていて、当時の私にはただ凄い色落ちをしたジーパンという捉え方しかできなかったのだけど、記憶を辿ると〈ドゥニーム〉特有の点落ちをしていた。細かい点同士が集まってフェイドするアレ。あの色落ちがアメカジに目覚めた私の価値観に強く影響を与えたのは間違いない。

約18年越しの憧れが実り、一番の相棒に

デニムに目覚め始めて間もない私も当然喉から手が出るほど欲しかったのだが、いかんせん価格が高すぎてセルヴィッジ付きのモデルは買えなかった。それから約18年を経て、2年前の34歳の時にふと「〈ドゥニーム〉を買おう」と思い立つ。憧れながら高くて買えなかったモノも、大人になった今は無理なく買える。2年前の私は特に細身へのこだわりが強かったため、〈ドゥニーム〉の中でトップクラスに手に入れにくいタイトテーパードシルエットモデル…662をネットで根気よく探す。662は現在ラインナップされていない廃盤モデルなので極端に流通が少ない。私はほぼミント状態じゃないと嫌だったので、2ヵ月くらいは探しただろうか。ある日偶然見つけ、1万円弱で手に入れてから1年間は毎日のように穿いていた。


1年半程度ハードに穿きこんだ662。細身なので腰回りは横に引っ張れるようなアタリに進化。このモデルはトップボタンも銅製。

まだ4回しか洗っていないので革パッチへのダメージは少ない。「662」の印字も濃く残っている。デスクワークメインなのでお尻周りの方が色落ちが進む。

根気よく穿きこむことで狙い通りの色落ちにエイジング中

タイトテーパードを選んだのは、目指す色落ちがある程度明確に持っていたからでもあった。一般的にジーンズはタイトであればあるほどメリハリの強い色落ちになる。洋服のシワの付き方を想像してほしい。ゆったりしたシルエットはストレスの掛かる箇所が少なく、負荷が掛かってもゆとりがあるため弱い。しかしタイトなシルエットは体への密着度が強いため、「歩く・座る・屈む」といった姿勢時に強く負荷が掛かる。デニムは色が落ちる素材なので、負荷の強く掛かる箇所からフェイドしていくというわけ。
つまりタイトなシルエットはバキバキの色落ちになりやすいということだ。私はドゥニームでそれがやりたかった。そして、まだ育成中ではあるものの、その目論見は見事に当たりつつある。
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ITEM CREDIT
  • Jeans:DENIME – 662(4 Wash & 1 soak 18 month)