【第2回】初めてのロレックス選び – サブマリーナ

ロレックスの中で最上位の人気を持ち、常に品薄状態のサブマリーナ。ダイバーズウォッチの教科書的存在であり、ほとんどあらゆるシーンで着用できる万能型の時計でもある。「初めてのロレックス」第2回目では、サブマリーナがファーストロレックスとして最適かどうかを検証する。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Rolex

革新的なアイディアと技術が詰まった究極のダイバーズウォッチ

1953年の発売当時からサブマリーナは他を圧倒するダイバーズウォッチだった。100m(330フィート)防水性能を備えた初の腕時計として記録されており、当時としては飛び抜けて高い防水性能を確保。それを実現したのは他ならぬオイスターケース。牡蠣の殻のように頑丈なケースは衝撃から内部のムーブメントを強固に守り続ける。
また、三重密閉構造のトリプロックリューズが果たす役割も非常に高い。ケースに対して完全にねじ込まれるリューズはサブマリーナ以外のモデルでも標準仕様として採用されているが、ダイバーズウォッチにとっては必要不可欠の仕様だ。
サブマリーナ以降他社でも当たり前のように装備される回転ベゼルも、ダイバーの命綱として役立つ画期的なツールである。60分の目盛りが刻まれた逆回転防止のベゼルがあることで、ダイバーは潜水時間と減圧停止を性格に測定できるからだ。
ロレックスがプロフェッショナル向けのダイバーズウォッチを作ると、1953年という大昔(あえてそう言わせてもらう)でも非常にスペックの高いモデルが生まれてしまう。以降マイナーチェンジの度に潜水可能領域が飛躍的に伸び続けたことも、ロレックスの技術力の高さを如実に表している。機械式時計の世界において、サブマリーナはダイバーズウォッチとして完全にパイオニアであり、誕生当時も今も歴史的な腕時計なのだ。


ベゼルと文字盤がロレックスのコーポレートカラーであるグリーンで彩られたサブマリーナ。ドット形のインデックスや回転ベゼルといったアイコニックなデザインと仕様は後のダイバーズウォッチに多大な影響を与えた。ケース径40mm。300m防水。

特許が取得されているサイクロップレンズ。日付を拡大して表示する画期的なアイディアがここにもある。ダイヤルは設計から製造まで完全自社開発。ほぼすべての工程が手作業で行われる。

シーンや場所を選ばずに着用できる万能型腕時計

上記のようなスペックを読むと日常生活にはあまりにToo muchなため、自分には関係ないと感じるかもしれない。しかし、腕時計が高い防水性能を持つことはとても重要だ。例えば水道の蛇口から出る水の圧力は5~10気圧と言われているし、旅行先で海水浴や素潜りをする時も、実際の深さ以上に腕時計には容赦なく水圧が襲い掛かってくることを決して忘れてはいけない。
サブマリーナは純然なプロ仕様のダイバーズウォッチだが、ほぼありとあらゆるシーンで着用できる万能型の腕時計でもある。カジュアルな服装との相性は抜群だし、ビジネスシーンで日常的に使う人も非常に多い。これは「初めてのロレックス」として最適である理由のひとつだろう。
第1回のオイスター・パーペチュアル編でも述べたが、初めてロレックスを購入したら毎日のように身に着けたいはずだ。その際にシーンを限定してしまうようなモデルだと不満を感じることになるだろう。サブマリーナは基本的にどんな業種の会社でも上司から小言を言われることはないだろうし、休日に自宅でゆっくり休む時やアクティブに過ごす時でも身に着けて違和感を感じることはない。


細かいディテールを拡大して見ても一切破綻がない作り込み。

スイス公認クロノメーター検査協会のテストに合格した高精度のムーブメントを搭載。衝撃や温度変化に強く、過酷な環境で使用しても何事もないように機能してくれる。

強いこだわりがなければ少し古い中古品がおすすめ

他のスポーツモデルと同様サブマリーナも正規店では常に品薄状態なので、もし新品を購入したくても正規価格では購入できない可能性が高い。有名時計店では2019年2月現在、ステンレススチールのRef.116610LNが120万円台前後が相場のようだ。ロレックスというブランドの価値、機能の高さや作りの良さを加味しても、普通の感覚で見ると腕時計に120万円の出費はかなり大きいと言って良いだろう。
従って、もし新品であることにこだわりがなければ現行モデルではなく少し古いモデルを中古で購入するのがおすすめだ。年式や状態などで様々だが、91年製までさかのぼるとRef.14060は70万円前後で売られている。逆に、2000年代以降のモデルは100万円を超えるモノが多いので、現行モデルとさほど差がなくなってくる。いずれにしても高価な時計であることは間違いなく、ハイプライスであることが「初めてのロレックス」という条件には少しハードルが高いかもしれない。


王冠マークのトリプロックリューズ。深く刻まれた溝は寸分の狂いがなく、これほど小さいパーツからも高級感が漂ってくる。

防水性能を飛躍的に高めたねじ込み式。時間や日付調整の時以外は必ずリューズをしっかり締めるのが基本。

孫の代まで継承できる永続性

第1回のオイスター・パーペチュアルに比べ、手に入れるには価格の面でややハードルが高いサブマリーナ。それでも実際最初のロレックスがサブマリーナだったというオーナーも非常に多い。買ってしまえばかなり長い間使用できるため、長い目で見ればむしろお買い得であるというのは時計ファンが持つサブマリーナへの共通認識でもあるからだ。
もし「初めてのロレックス」を万能的なスポーツウォッチにしたくて、頑張れば手の届く範囲の価格を望むのであれば、サブマリーナはやはりおすすめできるモデルだと思う。いざとなればかなり高い換金性があるし、あまりにも有名で完成された時計なので、買って後悔することはないのではないだろうか。世界でもっとも有名なダイバーズウォッチであるサブマリーナには、物理的・精神的に満足させる要素が非常に多い。

ITEM CREDIT
  • ROLEX:Submariner