【第3回】初めてのロレックス選び – ヴィンテージ

短期連載「初めてのロレックス」3回目であり最終回の記事は魅惑のヴィンテージをピックアップ。高騰を続けるヴィンテージ・ロレックスの中にも初めてにふさわしい一本はあるのか!?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

70年代のオイスターパーペチュアルは鉄板の中の鉄板

ヴィンテージの中から「初めてのロレックス」を探す場合、デイトナはもちろん、サブマリーナも候補から外した方が良いだろう。なぜなら、これらスポーツウォッチのヴィンテージモデルは軒並み目玉が飛び出るような相場に上がってしまったからだ。デイトナは今や安くても900万円前後~という驚異の金額で取引されている。どう考えてもファーストロレックスにはふさわしくない。サブマリーナも数年前と比較し飛躍的に高騰の一途をたどっている。80年代のモデルでも100万円に迫る(モノによっては超える)勢いであることを見ると、やはりこちらも初めてには高額すぎる。
それではヴィンテージ・ロレックスはすべて初心者には手が出ないモデルしかないのだろうか?安心してほしい。普通のサラリーマンの貯蓄で購入できる魅力的な3本をピックアップしたので、ぜひヴィンテージ・ロレックス選びの参考にしてほしい。
1本目はオイスターパーペチュアルデイト。ロレックスのラインナップの中で常に定番として愛されてきた名品の中の名品だ。もっともよく知られた腕時計であり、もっとも他社からデザインやアイディアを真似されてきたモデルでもある。
写真のモデルは1974年製。ケース径34mmと小振りなサイズ感はあらゆるシーンでオーナーの知性を演出してくれる。34mmは小さすぎる!と思った方。ベゼルが傾斜しているため、実際のサイズよりも大きく見えることを頭の片隅に入れておいてほしい。サイクロプスレンズで拡大される日付表示は実用的だし、文字盤のクリーンなデザインは飽きることがない。実際のところ、ビジネスシーンでこれほど合理的な腕時計はほとんどないと言って良いだろう。サブマリーナやデイトナがスーツに似合わないとは思わないが、正確に時刻と日付を確認するという点ではオイスターパーペチュアルデイトに不足することは何もない。また、高級スポーツウォッチよりも嫌みがないことも美点だ。この時計なら誰の目も気にすることなく心おきなくどこへでも着けて出掛けられるだろう。
2019年2月現在、70年代のオイスターパーペチュアルデイトの相場は30~40万円ほど。言うまでもなく新品を買うよりも安い。


堅牢なオイスターブレスレットを装備。全体的に控えめなデザインなので、年齢や流行を問わずに長く愛用できる。

必要最低限の装飾が潔い文字盤。ぷっくりと盛り上がる風防もヴィンテージらしい。

格式高い80年代のデイトジャスト

もう少しゴージャスで格式高いロレックスをお望みなら、1984年製のデイトジャストはどうだろうか?クラシカルなルックス…特にフルーテッドベゼルとジュビリーブレスレットの高貴なデザインは、全体に高級感を与えている。
70年以上前に生まれたデイトジャストは幾度も仕様変更を行ってきたが、クラシックで高級感に溢れ、それでいて控えめなところはずっと変わらない。人に見せびらかす類の腕時計ではなく、持ち主が深い愛情を持って何世代にもわたって愛されるべき腕時計だ。
84年製のデイトジャストはホワイトゴールドのフルーテッドベゼルと穏やかに輝くシルバーダイヤルを装備。ケースはステンレススチールなので日常使いで気兼ねなく使用できる。ケース径は36mmとゴールデンサイズなところも素晴らしい。
ムーブメントはロレックスが誇る自動巻きのCal.3035。オイスターパーペチュアルデイトと同様ぷっくりとしたプラスチック風防とトリチウム夜光も、ヴィンテージ・ロレックスを購入した喜びを毎日感じさせてくれるだろう。
80年代のデイトジャストもおおよそ30~40万円で手に入れることができるはずだ(2019年2月現在)。


5連のジュビリーブレスレットとフルーテッドベゼルのコンビネーションが美しい。男女問わず着用できるデザイン・サイズなので、パートナーと共有するのも楽しいだろう。

クラシカルな顔立ちはオン・オフ問わず最高の相棒になってくれる。クロノメーター検定に合格した高精度の自動巻きムーブメントを搭載。

人と違う何かを求めるならレアな仕様のデイトジャストを

もし上に紹介した2本の定番モデルでは満足できない方は、レアでマニアックな仕様を探すのも楽しいだろう。下に紹介するデイトジャストは珍しいBuckleyダイヤルを備えた逸品。まるでカルティエのようにダイヤルがローマ数字になっており、独特なヨーロピアンテイストを醸し出している。
デイトジャストは生産年数が非常に長いため、こういったレアな仕様のモデルも探せばいくつも出てくるのが面白い。ダイヤルがローマ数字であることと、文字盤外周にサークルがあること以外はベーシックなデザインだが、たった2点が変わるだけでこれほど雰囲気が変わるのは腕時計ならではだ。
1979年製で、リファレンスは16000。ステンレススチールのケース、直系36mm、トリチウム夜光、プラ風防など、もっとも使い勝手の良いスペックを備える。Buckleyダイヤルのデイトジャストは流通自体が珍しいため相場感は不明だが、写真の個体は3,300ドルでSold out。恐らく40万円台のどこかで購入できるのではないだろうか。


ダイヤルがローマ数字になるだけで雰囲気が一変する。ROLEXのロゴで王冠マークがなければロレックスだと判別できない人も多いだろう。このマニアックさがまたたまらない。

ヴィンテージらしくトリチウム夜光は焼けて変色し、良い味を出している。白文字盤と黒い針やダイヤルのコントラストは視認性もバッチリ。

まるで宝探しのように一期一会の出会いを楽しめるのがヴィンテージ・ロレックスの世界

ヴィンテージ・ロレックスの場合、基本的に出会ったその場で購入しないと売れてしまう可能性が高い。そういった意味では刹那的な部分があるが、良質で安い個体は人気がある裏返しでもあるのだ。オイスターパーペチュアルデイトやベーシックなデイトジャストであればロレックスに強い店舗で簡単に見つけることができるだろうけど、自分好みのルックスを本気で探すとなかなか見つからないのも事実。特に、3番目に紹介したレアなモデルは出会いを大切にしたい。
短期連載「初めてのロレックス」、第1回は現行のオイスターパーペチュアル第2回は現行のサブマリーナ、そして第3回の本日はヴィンテージに的を絞ってお届けしてきたが、いかがだっただろうか。個人的には、どのモデルを選んでも損はないどころか最高であることがロレックスらしいと感じた。ロレックスの凄いところは「これだけはやめておいた方がいい」というモデルがないところだ。あらゆる年式のあらゆるモデルが時代の先を行っていて、高精度で美しい。こんな時計メーカーは他にないだろう。
初めてロレックスを買う時に何にするかは完全にその人の自由なのだけれど、この短期連載が何かの役に立てば幸いだ。
「初めてのロレックス」記事一覧

ITEM CREDIT
  • ROLEX:1974 Rolex Oyster Perpetual Reference 1500 / 1984 Rolex Datejust Reference 16014 / 1979 Rolex Datejust Reference 16000 With ‘Buckley’ Dial