Greedy catalog 2019 pt.1

ボーナスを丸ごと使ってでも欲しい!男の物欲カタログ2019 – パート1

あっという間に2019年も終わりを迎えようとしている。あれもしたかった、これは達成できなかった…といった具合に後悔を感じている方もいるかもしれないが、今日は難しいことは忘れてめくるめく物欲が炸裂する妄想ワールドに浸ってみてはいかがだろうか。「物欲カタログ2019」と題する本連載では、ボーナスを注ぎ込んででも欲しいと思える逸品を絞りに絞ってお届けする。自分へのクリスマスプレゼントにするも良し。間もなくやってくる2020年の景気づけにするも良し。さぁ、買い物をしよう!


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : ARKnets / THE LAKOTA HOUSE / GANZO / BAMFORD WATCH DEPARTMENT

恐怖すら感じる「値段はASK」。READY MADEのダウンジャケット

まるで入りにくい高級寿司屋のようだ。暖簾をくぐると店内の壁にずらりとネタを書いた札が下がり、いかにも頑固そうなオヤジが「いらっしゃい」と不愛想に声を掛けてくる…
もちろんREADY MADE(レディーメイド)から法外な値段を吹っ掛けられることはないし、お店で購入する際は店員が丁寧に接してくれるだろう。それでも値段が「ASK」であることはかなりハードルの高さを感じてしまう。そう、レディーメイドのアイテムは基本的にすべて「ASK」だ。知りたければ取扱店に問い合わせるしかない。
マスターマインドジャパンがそうしているように、値段という最重要要素のひとつがミステリアスだと余計に気になってしまう。ちなみに「ASK」を掲げて洋服好きから許されるのは本物だけである。それも当たり前で、もったいぶっておいて大したことがないレベルだと一瞬で酷評されてしまうからだ。レディーメイドは「ASK」を堂々と掲げられる数少ないブランドで、実際多くのハードコアな洋服好きから熱烈に支持されている。
写真のダウンジャケットは得意とするミリタリーテイストが色濃く漂うデザインで、いかにもレディーメイドらしい。右胸付近に縫い付けられた国旗のワッペンや左胸付近のブランドロゴ、両袖にプリントされるタイポグラフィなど、ラグジュアリーなストリートブランドらしいクールなセンスが随所に光る。
また、モコモコとしたフォルムを見る限り防寒性もかなり本気の仕様。見るからに暖かそうなくらいダウンが詰まっていて、「オシャレは我慢」という定説を無視できる機能性の高さも魅力的である。


一見普通のデザインであることもこのダウンジャケットの美点。末永く愛用できるミニマムさと、ハイセンスなミリタリーテイストが見事に融合している。

フードは取り外し可能だが、真冬は着けておくのが正解。チラリと覗くオレンジカラーのインナーがストリート感たっぷり。


「HUMOR AND AMBIGUITY(ユーモアと曖昧さ)」などのメッセージが両袖にプリントされる。

バックショットもシンプルだ。分かる人にだけ分かる通なデザイン処理がGood。

男なら一度は手に入れてみたいオールデンの革靴

一転変わって、今度はオールデンの革靴である。アメリカが生んだ最高峰のシューズブランドとして世界トップに君臨する。キャップトゥやチャッカブーツなどオールデンには名作と呼ばれるモデルが数多く存在するが、写真の975はウイングチップの名モデル。しかもホーウィン社のシェルコードバンを全面に使っている超贅沢な仕様だ。オールデンというアメリカが生んだ最高の靴ブランドが、同じくアメリカを代表するレザーファクトリーの傑作レザーを使う…これを最高と言わずに何を最高と言うのだろうか?
975はバリーラストを使用したダービーの中でももっともディテールにこだわりを持ったデザインと言われている。高級靴の世界で常に権威のあるフルブローグ飾りは男らしさの象徴。クラシカルでオーセンティックなスタイルはまさに時代も流行も超越した別次元の完成度だ。ヨーロッパの革靴のようなシャープさやセクシーさはハッキリ言ってない。しかし、ドッシリとしたマニッシュな佇まいとボリューム感、古き良きアメリカの雰囲気は唯一無二の迫力がある。
頑強なダブルレザーソールなので履き始めからしばらくの間は硬さを感じるものの、徐々に自分の足に馴染む様はクセになると言われている。アッパーやアウトソール、インソールやコルクが時間を掛けて自分の足に寄り添ってくれる…このインスタントさがないアナログなエイジング過程も今っぽくなくて逆に良い。
もちろんホーウィンのシェルコードバンのエイジングも見逃せない。長く大切に愛用すればそれにしっかり応えてくれるだろう。何度も言うが、流行りがどうとかの次元ではなく、できれば大枚を払っても一足持っておきたい傑作の中の傑作なのだ。


カッコいいウイングチップのお手本のようなルックス。この存在感は半端じゃない。アメリカントラッドというジャンルを超えて愛される傑作の中の傑作だ。140,800円/税込。

シェルコードバン特有の艶感は写真では伝わりにくいが、実際に手に取って見ると違いは一目瞭然。履くのをためらうほど美しい。


ロングウイングを堪能できるサイドビュー。上品さと頑強さが共存した素晴らしいデザインだ。

ソールにはホーウィン社のシェルコードバンであることを示す刻印が押されている。

日本の高い技術力に酔えるガンゾのリザードレザーウォレット

新年を迎えるのと同時に財布を新調してみるのはどうだろうか?縁起的にどうこうというよりも、より新鮮な気持ちで新しい年の始まりを楽しめるかもしれない。「物欲カタログ2019」にエントリーすべきは当然最高峰の中の最高峰でなくてはならないので、GANZO(ガンゾ)の新作であるリザードレザー(トカゲ革)を使った長財布をピックアップ。
オイルをたっぷり含んだ極上のリザードレザーは程よいテカリ感があり、牛革などとは違うエキゾチックレザー特有の革質を存分に楽しむことができる。リザードやパイソン、クロコダイルといったエキゾチックレザーの革小物は必要以上にアクが強くなっていることが多いが、このブランドは決してそうはならない。ガンゾの凄い点は、高級な素材を惜しげもなく使いながら悪目立ちせず、ただひたすらに上質であり続けているところだと思う。革自体の開発や選定もかなり厳しいことで知られており、極上の素材を最高の技術で形にするという一貫性がすべての商品にある。
内装にイタリア産のミネルバボックスを採用し、表と裏でかなり質感の異なるレザーをコンビさせるセンスも最高だ。カードを12枚収納できる機能性の高さと、使い込むほど艶が増し、色濃くなっていくエイジングを2つのレザーで楽しめるところもこのラウンドファスナー長財布の魅力と言えるだろう。


リングマークトカゲの革1枚を丸ごと使って作られるラウンドファスナー長財布(88,000円/税込)。リザードレザー特有の細かい鱗模様が高級感たっぷり。

エキゾチックレザーを使って財布にする際は鱗をいかに美しく配置できるかも非常に重要。ガンゾの長財布は上から見てもさすがの美しさ。


コバの丁寧な磨き処理にも注目。いつまでもなでていたくなるほど滑らかに仕上げられている。実際にガンゾの革製品を手に取ると感動レベル。ぜひ店頭で確認してほしい。

財布自体に不必要な厚みが出ないよう、レザーは極力薄く、かつ丈夫に仕上げたという。ブラック以外にブラウンカラーもラインナップされている。

モダンでクール!ただただカッコいいゼニスのエル・プリメロ

「物欲カタログ2019」パート1の最後を飾るのはバンフォード・ウォッチ・デパートメントとフラグメントデザインのコラボレーションモデル。ZENITH(ゼニス)の傑作、エル・プリメロである。
カスタムウォッチメーカーとして不動の地位を誇るバンフォード・ウォッチはゼニスやタグ・ホイヤーの公式カスタムメーカーとして認められており、これまで数多くのユニークでラグジュアリー、そしてロックなカスタムウォッチを世に送り出してきた。このエル・プリメロは藤原ヒロシ氏率いるフラグメントデザインとのコラボレーションモデル。ブラックとシルバーのモノトーンで統一されたクールなルックスは洋服ファンはもちろん、ハードコアな時計マニアをも魅了。ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、東京のドーバーストリートマーケットで独占的に発売され、あっという間に完売した…そう、この腕時計は既に完売してしまっている。もしこれから手に入れようとしたら、ほとんど出てこない中古モデルを根気よく探し続けるしかない。
実際に手に入れることは難しいかもしれないが、このエル・プリメロは本当に魅力的だ。ムーブメントはかつてロレックス・デイトナにも採用されていた名機だし、何よりもクラシカルなデザインがモードの空気をまとって生まれ変わっているところが最高にクールじゃないか。3カウンターのクラシックなダイヤルは往年のゼニスを彷彿させる。文字盤上の要素はすべて黒か白で統一されていて、「EL PRIMERO」のモデル名の下にはさり気なくフラグメントデザインのロゴも配置。ハイストリートファッションと高級時計のコラボレーションとしてこれ以上望めないほど、ただただカッコいい。
3時位置には30分積算計、6時位置には12時間積算計。そして9時位置にはスモールセコンドというオーソドックスなレイアウトなので使い勝手も間違いなく良い。ケース径は42mmで、現行のオメガ・スピードマスター・プロフェッショナルと同じだ。


黒・白・銀以外のカラーが一切ないモノトーンの世界観。緊張感すら感じさせるシャープなルックスこそこのモデルの一番の魅力ではないだろうか。

ケースバックはスケルトン仕様。名機エル・プリメロの動く様子を楽しめる。


ブレスレットのビス留めがヴィンテージウォッチを彷彿させる。ケースの厚みは12.75mm。分厚過ぎるとシャツを着用している時に引っかかって不便に感じることがあるが、この厚みであれば問題ないだろう。

惚れ惚れするほどクールなデザイン!フラグメントデザインとのコラボレーションはどんなアイテムでもプレミア化する傾向があるが、実際に物欲を激しく刺激されるカッコ良さがあるのだから仕方がない。藤原ヒロシ氏恐るべし!

例え買うのが難しくても「欲しい!」が止まらないモノたち

「物欲カタログ2019」パート1、いかがだっただろうか。パート1なので当然この後パート2、3と続いていく予定だ。「ボーナスを注ぎ込んででも欲しいと思える逸品」というのは本当に人それぞれだし、今回紹介したアイテムもこれから紹介する予定のアイテムも、すべて筆者である私の私情(と欲望)が大いに反映されている。よって最後まで読んでも心の琴線に触れなかった方もいらっしゃるかもしれないが、可能であればパート2に期待してほしい。
レディーメイドのダウンジャケット。オールデンのウイングチップ。ガンゾの長財布。バンフォード・ウォッチ×フラグメントデザインのコラボレーションであるゼニスのエル・プリメロ。すべて高額で、一般庶民が気軽に買えるものでは決してない。私自身も本気で買おうと思ったら「本当に必要か?」と何度も自問するだろうし、エル・プリメロに至っては金額的に恐らく無理だと思う。
それでも「欲しい!」と思ってしまうモノたち。それらはやはり神々しいのである。
パート2は年内にお届け予定なので、お楽しみに!

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