Tag Heuer Carrera 160th Montreal edition

見た目はヴィンテージ・モダン、中身は最新 – TAG HEUER創業160周年を祝うカレラ・モントリオール・リミテッドエディションは今もマストバイの逸品

ヴィンテージ直系のデザインで中身は最新の鬼かっこいい時計が欲しいなぁ…というそこのあなた。〈タグ・ホイヤー〉カレラ160周年モントリオールリミテッドエディションで決まりでしょう。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

72年製モントリオールからインスパイアされたカラフルなスポーツ・クロノグラフ

2020年に創業160周年を迎えた〈TAG HEUER(タグ・ホイヤー)〉がリリースしたCARRERA 160 YEARS MONTREAL LIMITED EDITION(カレラ 160周年 モントリオール・リミテッドエディション)。発売から約1年も経過してから紹介するのは我ながら遅すぎると思いつつ、この時計があまりに美しく特別さを感じるので、2021年の今LIVE IN RUGGED読者の皆様にご紹介したい。
クラシックなデザインのカレラをベースに鮮やかなカラーリングを身にまとったモントリオール・リミテッドエディションは、〈タグ・ホイヤー〉が〈HEUER(ホイヤー)〉時代であった1972年に発売されたモントリオール Ref.110503Wからインスピレーションを受けたモデル。オリジナルの〈ホイヤー〉モントリオールはいかにも1970年代らしいデザインが特徴のオーバルケースで、「モントリオール」というモデル名はモータースポーツと密接な関係を持つ〈ホイヤー〉らしく、F1カナダグランプリが開催されるケベック州モントリオールにあるサーキットに由来する。〈ホイヤー〉の代表モデルである「モナコ」や「モンツァ」と同じ系譜にあると言ってもいいだろう。当時の〈ホイヤー〉モントリオールは2カウンタークロノグラフを備え、文字盤の中はレッド、イエロー、ブルーの3色が素晴らしいバランスで配色されたオリジナリティあふれる時計だ。
2020年に発売されたカレラ 160周年 モントリオール・リミテッドエディションは、美しくポリッシュされた直系39㎜のステンレススチールケースに3カウンタークロノグラフが収まっている。清潔感でいっぱいの真っ白な文字盤にコントラストの強いブルーのカウンターが載り、インデックスやカウンター内、クロノグラフ針といった随所に〈ホイヤー〉モントリオールを彷彿させるカラフルな色彩が散りばめられた。
ケース径39㎜のカレラは常にヴィンテージウォッチ愛好家の間で高値で売買されている。腕時計黄金時代に生産されたモデルをタイムマシンで持ってきたようなルックスでありながらあくまでも現代の時計であることが人気の秘訣だ。ヴィンテージ直系のクラシカルなデザインと大きすぎず小さすぎない39㎜という絶妙なサイズ感。そしてモータースポーツのレーシーなイメージがデザイン上でも表現され、モントリオール・リミテッドエディションにオンリーワンの特別感を演出している。


完璧なバランスで配置された3カウンターダイヤル。イケメンすぎる!

社名を変更する前の「HEUER」ロゴであることもこのカレラの魅力。文字盤上のダイヤルやインデックスなど、時計を構成するパーツが立体的にセットされている点にも注目。


レッド、イエロー、ブルーが真っ白な文字盤に映える。この明るくポップなテイストは〈タグ・ホイヤー〉ならでは。

シンプルで飾りのないプッシャーと「HEUER」ロゴ入りのリューズもクラシックスタイル。文字盤外周に刻まれる目盛りはさり気なくレッドとブルーで塗り分けられるという芸の細かさ。


1972年製のモントリオール(左)と2020年製のカレラ160周年モントリオールリミテッドエディション(右)。形は違えど、並べてみると72年製のエッセンスを継承したモデルであることが分かる。

F1のトップドライバーたちもオンオフ問わず〈ホイヤー〉そして〈タグ・ホイヤー〉のクロノグラフを愛用してきた。腕時計メーカーは数多いけれど、これほどモータースポーツのイメージが強いブランドは〈タグ・ホイヤー〉以外には滅多にない。

見た目はヴィンテージ・モダン、中身は最新という無敵モデル

もっとも印象的なアジュラージュ加工(レコードのような同心円状の溝)が施されたブルーのクロノグラフカウンターにクローズアップしてみると、〈タグ・ホイヤー〉の卓越した技術力の一端を覗き見ることができる。3時位置にある30分計には1から5、10から15、20から25まで伸びる3本の曲線にイエローカラーのスーパールミノバが塗布されており、単調になりがちなカウンターに見た目上のアクセントを与えており、それがこの時計のスポーティーでポップな印象を強めていることが分かるはずだ。それと同じくらい中央から真っ直ぐ外側に向かって伸びるクロノグラフ秒針の鮮やかなレッドカラーにも注目。スムースな輝きを放つベゼルの内側にある目盛りは12時位置から3時位置までが青、それ以降は赤でプリントされるという芸の細かさも見せてくれる。
クロノグラフにとって生命線であるムーブメントは、毎時2万8800振動というハイビートで時間を刻むCal.HEUER 02を搭載。なんとパワーリザーブは約80時間という長さを誇る。自動巻きの機械式時計にとって最大の弱点であるパワーリザーブが80時間もの長さを維持してくれるのであれば、複数の時計を所有するオーナーであっても、いざという時に時計が駆動していないという事態には滅多にならないはず。
クラシカルなルックスにレーシーなカラーで味付けをし、機械的な作りは極めて現代的というカレラ 160周年 モントリオール・リミテッドエディション。発売時の定価は73万円(税抜)で1,000本限定だったが、現在程度の良い中古モデルもしくは新古品が60万円代後半~70万円代で手に入れられるようだ。かつての〈ホイヤー〉と今の〈タグ・ホイヤー〉両方の要素を兼ね備えた160周年記念モデル、出会いがあればぜひとも一生の相棒に検討したい。
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