Best backpack pt.3 PRADA

【第3回】最高のバックパックを探せ!- PRADA

星の数ほどあるバックパックの中から買うに値する逸品を見つけ出す短期連載「最高のバックパックを探せ!」。第3回はモードブランド屈指のベストセラー、〈PRADA〉の名作をフィーチャー。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : PRADA

普遍性の中にあるラグジュアリー

ファッションの系統に関係なく、今や男女問わず多くの人が日々愛用するバックパック。普遍的なアイテムだからこそ選び方に個性が表れるし、日常的に使う機能的なバッグだからこそできる限り良いモノを選びたい。きっと多くの方がそう思っているはず。そんな思いからスタートした短期連載「最高のバックパックを探せ!」では、2020年代の今だからこそ選びたい最高のバックパックをLIVE IN RUGGEDの筆者が独断と偏見でピックアップ。第3回目は〈PRADA〉の傑作モデルお届けする。
【最高のバックパックを探せ!バックナンバー】
第1回:PORTER SENSES
第2回:THE NORTH FACE × Supreme
第1回の〈PORTER SENSES(ポーター・センシズ)〉ではメイドインジャパン屈指のミニマルなデザインとホスピタリティあふれる仕様に感動し、第2回の〈THE NORTH FACE(ザ・ノースフェイス)×Supreme(シュプリーム)〉ではアウトドアの最高峰ブランドとストリートの王様というキャッチーなタッグにワクワクした。今回はモードブランドの名門、〈PRADA(プラダ)〉が継続的に制作しているバックパックだ。
〈プラダ〉のバックパックには時代を超えて愛用できる普遍性がしっかりと備わっている。フロントに大きく2つのポケットを設け、アイコニックな三角ロゴがさり気なくイタリアンブランドとしてのラグジュアリー感をプラス。バックパックとしてのデザイン自体はまったく奇をてらうことのないオーソドックスな見た目で、多くのアウトドア系ブランドが生み出してきたスタンダードな見た目であることにまずは注目したい。それでいてカジュアルではなく高級感があるのは、全体で統一したミニマルなデザインの成せる業だ。〈プラダ〉と言えば緻密な質感の最上級のナイロン素材で、この素材の素晴らしさは男性よりも女性の方が体験されている方が多いかもしれない。モード感あふれるブラックカラーのナイロンバックパックは90年代にも一世を風靡していたが、今も男女問わず憧れの逸品であり続けている。

BEST BAKCPACK Part3 PRADA
BEST BAKCPACK Part3 PRADA

革新的なリサイクルプラスチック「Re-Nylon」を使用

そして2020年代の今、〈プラダ〉はナイロン素材自体を見直していたのをご存じだろうか。〈プラダ〉はサステナビリティを意識した「リナイロン」プロジェクトを2019年に始動。2021年末までにすべてのナイロン素材を再生ナイロンにすることを目標に定めて活動してきた。このバックパックは海から回収されたリサイクルプラスチック素材で作られる革新的なテクニカルファブリック、「Re-Nylon」を使用。皮革素材に比べて風雨に強いテック素材であるナイロンは、長年ファッション業界においてもアイテムを問わず多用されてきたが、人口素材である以上、環境汚染という課題があるのはご存じの通り。CO2の問題だけではなく、海辺に捨てられたペットボトルが海中に漂い、鳥や哺乳類が誤って飲み込んでしまったり、海底に沈殿し海を汚染する問題もあるのだ。〈プラダ〉のリサイクルプラスチック「Re-Nylon」は海の中に無数に存在するプラスチック素材でできているため、人間が生み出したゴミをアップサイクルするという点でも今の時代に必要な企業活動がしっかり行われている証拠でもある。ただかっこいいだけではなくて、ひとりひとりが微力でも環境問題の改善に役立てるという実感もあること。これは物質的な豊かさだけではなく、精神的な豊かさを重視する今の時代にふさわしい選択とも言えるかもしれない。

BEST BAKCPACK Part3 PRADA
BEST BAKCPACK Part3 PRADA

本来カジュアルなバックパックをハイセンスでラグジュアリーに仕立てる〈プラダ〉の圧倒的実力

メインの収納部分はセキュリティ要素が強いバックル付のフラップ開閉式を採用。ポイントで使われるブラックレザーがさり気なく高級感を演出しており、ハイブランドとしての矜持を感じさせる。ナイロン素材のイメージが強い〈プラダ〉も、実は高品質なレザー製品の制作にも強い。それは古くから皮革産業が豊かなイタリアンブランドであることも強く影響している。つまり、ナイロンだろうがレザーだろうが、素材の開発、選定、そして加工まで含めて第一級の品質を持っており、しかも現状に満足することなくアップデートし続けているブランドなのだ。技術力とハイセンスなデザイン力を持っているからこそ、本来非常にカジュアルなアイテムであるバックパックでもここまでハイセンスでラグジュアリーな名品を作ることができる。319,000円というハイプライスでも売れ続けているのは、プロダクトに説得力があるからにほかならない。
目の肥えたファッション業界のスタイリストやデザイナー、著名人にも愛用者が多い〈プラダ〉のバックパックには、何年も使いたいと思える普遍性と使えるに違いないと思える安心感がある。そして、身の回りのアイテムにハイクラスな品質とデザインを求める人にとっても最適な選択になるはずだ。一部の人の間では〈プラダ〉のバックパックは時代遅れと言われているようだが、個人的にはその批判は的を外れているように思う。本当に良いモノは時代遅れになることがなく、いつの時代でも身に着けられる永続性が備わっているはずで、〈プラダ〉が作るバックパックにも時代や性差すら超えて愛される魅力があるからだ。
先述の通りバックパックとしては異常とも言える値段の高さでおいそれとは手が出ないのは正直なところ。しかし、憧れという点で他ブランドを寄せ付けない存在感があるのが〈プラダ〉なのだ。
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