2000s Rolex Daytona Ref.116520

今でも私たちが ROLEX DAYTONA を手に入れたい理由

空前の〈ROLEX〉バブルが落ち着きつつある今、DAYTONAの価値を改めて考察する


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

落ち着きを見せてきた〈ROLEX〉バブル

史上空前の〈ROLEX(ロレックス)〉バブルが徐々に弾けつつある2023年末、同ブランドが誇るフラッグシップモデルであるDAYTONA(デイトナ)のことを考えていた。完膚なきまでに完成されたクロノグラフの王様である〈ロレックス〉デイトナは、時計業界の金字塔であり、クールの象徴であり、あふれんばかりの富を示唆し、呪いのようでもある。振り返ってみると、この時計なくして昨今の〈ロレックス〉バブルは存在しなかっただろう。もちろん同ブランドには他にもエピックな時計が多く存在しているが、デイトナのない〈ロレックス〉はチーズのないピザのようなものだ。
しかし〈GUNS N’ ROSES(ガンズ・アンド・ローゼズ)〉が壮大なバラード曲「NOVEMBER RAIN」で「Nothin’ lasts forever(永遠に続くものはない)」と歌ったように、あらゆる事象には終わりがくる。その中に〈ロレックス〉デイトナが含まれているなんて信じられない気持ちもあるけれど、いつかはこの永久不滅と思われる傑作ウォッチも今ほどもてはやされなくなる時がやってくるのだ。
もしかすると人によっては2024~2025年頃にはそうなるのでは、と言うかもしれない。実際に数年前よりも〈ロレックス〉の市場価格(並行輸入や二次流通市場)は減少傾向にあり、様々なメディアが「ついに〈ロレックス〉バブルが終わりつつある」と報じている。これに関しては、投資家や転売屋以外の一般的な時計ファンにとっては喜ばしいことだと思う。極端なことを言えば〈ロレックス〉の店舗で購入したデイトナを時計店に売るだけで莫大な利益が生まれるという異常事態が落ち着くことは、時計業界にとっても時計ファンにとっても健全と言うほかない。本当に欲しいモノを適正な価格で手に入れたいと願うのは人として当然の願いだ。

2000s Rolex Daytona Ref.116520

初めて自社製ムーブメントを搭載した記念すべき時代のモデル

じゃあ、市場相場が落ち着いてたから〈ロレックス〉デイトナはもう手に入れる価値があまりないのか?もちろんその答えはNOだ。移ろいやすいトレンドや市場相場と時計自体の本質的な価値には関係性などないことは、熱心な時計ファンであればご理解いただけるだろう。むしろ常軌を逸したバブルが弾けた後にこそ手に入れるべき時計の筆頭と言えるかもしれない。
本稿でピックアップしたデイトナは、2000年代に生産されたRef.116520。ミレニアムイヤーの2000年に誕生し、2016年まで生産されたロングセラーモデルとなるRef.116520は、今でも中古市場で高い人気を維持している。前モデルのRef.16520が〈ZENITH(ゼニス)〉社の自動巻きムーブメント「エル・プリメロ」をベースとしたムーブメントを採用していたのに対して、〈ロレックス〉が初めてデイトナに自社製ムーブメント(Cal.4130)を搭載させた記念すべき年代の個体であることも人気の秘訣だろう。時計自体のデザインは前モデルや現行モデルと比べて大きな変更点はなく、「これぞデイトナ」というオーセンティックなルックス。1960年代前後のヴィンテージモデルとは大きく異なるけれど、リニューアルして以降は基本的に外観上の特徴には大きな変更が加えられていない。この絶大な安心感もデイトナの変わらない魅力だったりする。

2000s Rolex Daytona Ref.116520
2000s Rolex Daytona Ref.116520

将来のヴィンテージになる傑作品

つまり〈ロレックス〉デイトナは流行や無責任な市場相場の変動に左右されるほどヤワな時計ではないということ。数年前に〈ロレックス〉の普遍的な価値を示すエピソードとして「〈ロレックス〉の時計は世界中どこで売却しても高く売れる」という話を聞いたことがある。バブル的な盛り上がりが落ち着いたとはいえ、同ブランドの人気モデルが今でも定価よりもはるかに高値で売買されており、その流れは今後も恐らく今後もしばらくは続くだろう。もし当時の定価と同程度の市場相場まで激減したとしても、先に述べたように時計自体の本質的な価値は変わることがない。本当に良いモノはそういうものではないだろうか。
もし〈ロレックス〉デイトナの購入を真剣に検討されているのであれば、LIVE IN RUGGEDとしては猛プッシュしたい。このクロノグラフは、財産としてはもちろん、今もこれからも永続的に愛用できる稀有な傑作品だからだ。私たちが老人になり、子供の世代に受け継がれる頃には、きっとヴィンテージウォッチとして更なる価値が発生しているだろう。
〈ロレックス〉デイトナ Ref.116520は「HODINKEE 公式サイト」にて販売中。価格は24,250ドルとなる。
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