Rolex Submariner Ref.6538 Explorer Dial

もっともレアな 3・6・9 エクスプローラーダイヤルのロレックス・サブマリーナが国内で発見される

日本有数のヴィンテージ・ロレックスのメガコレクターが所有する超級のレアモデル、エクスプローラーダイアルの〈ROLEX〉サブマリーナにクローズアップ


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

実際にお目に掛かれる機会は皆無と言っていいウルトラレアモデル

ヴィンテージウォッチマーケットには “Holy Grail(聖杯)” と呼ばれる時計が存在する。生産数が極端に少なく、圧巻されるほどの美しいデザインを持ち、世界中の熱心なコレクターが血眼で探す時計が “聖杯” と呼ばれ、その多くは世界的に影響力を持つオークションや時計店で取引される。言わずと知れた〈ROLEX(ロレックス)〉にも “聖杯” と呼ばれる超級のレアモデルがいくつもあるが、本稿で紹介するSUBMARINER(サブマリーナ)はそれらの中でもトップに君臨する個体と言っていいだろう。
世界的な時計メディアの日本版としてウォッチコレクターから信頼を集める「HODINKEE Japan(ホディンキー ジャパン)」が発見した一本は、3・6・9 エクスプローラーダイヤルを持つサブマリーナ Ref.6538。通常のモデルとは異なり、文字盤に「3」「6」「9」の文字を備えるエクスプローラーダイヤルのサブマリーナは、どれくらい生産されたか(=どれくらい世の中に残っているか)が謎に包まれており、存在自体が幻のような時計なのだ。2018年6月には重要なパーツであるベゼルがなく、さらにダイヤルの劣化も激しい個体が「Christie’s(クリスティーズ)」の時計オークションに出品され、コンディションの悪さにもかかわらず106万8500ドル(当時の日本円で約1億1860万円)という驚異的な落札価格でフィニッシュ。この仕様を持つサブマリーナのハードコアな人気を世界に証明した。
そんなウルトラレアな3・6・9 エクスプローラーダイヤルを持つサブマリーナ Ref.6538が日本にいくつ存在しているかまったくの謎だが、先日「HODINKEE Japan」が日本有数のヴィンテージロレックスのメガコレクターに接近。「クリスティーズ」に出品された個体よりも状態の良い奇跡のような個体についてレポートしている。

Rolex Submariner Ref.6538 Explorer Dial
Rolex Submariner Ref.6538 Explorer Dial

ハードコアなウォッチコレクターが “上がり” の時計として探すモデル

そもそもエクスプローラーダイヤルのサブマリーナとは一体どんな時計なのだろうか?幻の時計だけに様々な逸話が存在しているが、Ref.6538に関してもっとも有名なのは映画「007」で初代ジェームス・ボンドが着用していたというエピソードだろう(そのためRef.6538には “ボンドサブ” という通称がある)。1955~59年に製造されたRef.6538はフランス語で特許を意味する “BREVET” という刻印が8mm径のリューズに入ることも特徴。当時手に入れたオーナーが実際にダイビングで着用していたことも多く、夜光塗料が劣化しやすいラジウムであることから状態の良い個体が極端に少ないことでも知られている。とはいえ、例えコンディションが悪くても日本円で2,000万円をくだることはまずないという。エクスプローラーダイヤルのモデルはRef.6538の派生モデルであり、先に述べたように実際にどれくらい生産されたのかは謎に包まれている。そのため店頭に並ぶことは限りなくゼロに近く、欲しくても手に入れることが不可能な時計としても有名だ。
ちなみにRef.6538以外にもエクスプローラーダイヤルを持つサブマリーナは存在している。1954~55年に製造され、”キング・オブ・サブマリーナー” の異名を持つRef.6200はすべてがエクスプローラーダイヤルであることに加え、8mm径のリューズを初採用し、サブマリーナー史上初めて200m防水を実現したモデルとしても有名だ。Ref.6538は複数存在するエクスプローラーダイヤルのサブマリーナの中でも屈指のレア度を誇り、その市場価値は他の追随を許さない。ハードコアなウォッチコレクターの本当の “上がり” の時計としてこれ以上は滅多にないと言っていいだろう。

Rolex Submariner Ref.6538 Explorer Dial

ポール・ニューマンダイヤルのデイトナよりもはるかに高額

この個体は国内有数のヴィンテージウォッチ専門店「LIBERTAS(リベルタス)」が先述のコレクターに販売。ヴィンテージウォッチ特有の細かい傷や焼けなどは見られるものの、状態の良さはご覧の通り。もし著名なオークションに出品されれば間違いなく億単位の落札価格になるだろう。
「リベルタス」では過去に10本程度しかエクスプローラーダイヤルのサブマリーナを取り扱ったことがないそう。しかしどの個体もポール・ニューマンダイヤルを持つDAYTONA(デイトナ)よりもはるかに高額だったという。ポール・ニューマンモデルも決して生産数は多くないが、エクスプローラーダイヤルのサブマリーナはその比ではない。特にRef.6538のエクスプローラーダイヤルの希少性はトップクラスと言われている。
希少性の高さはもちろん、サブマリーナでありながらエクスプローラーのアラビック文字を与えられた独特の外観を持つこのヴィンテージウォッチは、まさに “聖杯” と呼ぶにふさわしい。恐らく実機を目にする機会には遭遇できないRef.6538には、〈ロレックス〉の高いデザイン性とマーケティング力の高さ、時計業界における独自性が凝縮されている。欲しくても手に入れることはまず不可能なのが切ないところだが、気になる方は「HODINKEE 公式サイト」をチェックしてみよう。

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