MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA

NY発アート集団 MSCHF が新作個展「Material Values」を NANZUKA で開催

独創的なアイデアと作風で世界的にファンを拡大している〈MSCHF〉が日本で2回目の個展を開催、Tシャツやスニーカー、書籍などオリジナルアイテムも販売


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : FASHION SNAP

メゾンからの訴訟も気にせずクリエイトし続けるアート集団

アメリカ・ニューヨークのアート集団〈MSCHF(ミスチーフ)〉が、新作個展「Material Values(マテリアル・バリュー)」を2月1日(土)~3月22日(土)の期間中、「NANZUKA UNDERGROUND(ナンズカ アンダーグラウンド)」で開催する。
2019年に始動した〈MSCHF〉は、人類の文化や政治、貨幣社会といったシステムの不合理性や滑稽さを暴きながら、精密に計算された介入システムを視覚表現を用いて提示。世界的にその名が知られるようになったきっかけは、2023年に発表した手塚治虫の漫画『鉄腕アトム』の主人公が履くブーツをリアルに再現したビッグレッドブーツ。その後〈Crocs(クロックス)〉とのコラボレーションで、ビッグレッドブーツに可動式のバックストラップを追加した特別モデルを発表(詳しくは上記の「併せてチェックしたい」を参照)。2024年には誰もが見たことのある某メゾンのモノグラムを模したデコラティブなブーツを発売するなど、超有名ブランドから訴訟されることをものともせず、皮肉の効いたシュールなプロダクトやアート作品をドロップし、大きな話題を集めてきた。
これまでにニューヨークの「Perrotin(ペロタン)」や韓国・ソウルの「Daelim Museum(大林美術館)」で個展を開いてきたほか、ストックホルムの「Spritmuseum(スプリットミュージアム)」で開催された「Andy Warhol. Money on the Wall」、ロサンゼルスの「J.Paul Getty Museum(J・ポール・ゲティ美術館)」でのグループ展「Blood: Medieval/Modern」に参加するなど、アメリカ国内外で作品を発表。ここ日本では本展のティザーとなる初の個展「No shoes. No phone. No service.」を昨年1月に開催していた。その個展ではセレブリティの電話番号を登録したiPhoneを作品化した「Celebrity iPhones」や、様々なブランドのスニーカーを波の形状にデフォルメしたシリーズ「Wavy Sneakers」を披露。独創的な世界観で年々ファン層を拡大している。

MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA
MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA

高度資本主義社会におけるアートと物質的価値の関係再定義

「マテリアル・バリュー」では、現代の高度資本主義社会におけるアートと物質的価値の関係をユーモアを交えて再定義するシリーズ「MATERIAL VALUE SCULPTURES(マテリアル・バリュー・スカルプチャー)」を中心に展示。奇妙なポーズを取った人間の彫刻の台座にはデバイスが内蔵され、原材料であるインジウムの市場価値をリアルタイムで追跡する。インジウムは半導体産業やLED素材として需要が高まり続けており、その素材を使用することで、同素材の市場価値が作品の価格を上回った瞬間、装置が温度を上げ、彫刻を溶かして自壊しはじめるという。物質的価値のインフレーションが、高度資本主義社会においてはシミュレーション原理に基づくシステムの一部にすぎないことを提示するというコンセプトが込められているという。

MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA
MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA
MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA

孫悟空やジョージ・ブッシュ、空山基もモチーフに

アメリカの子ども向けSF小説「Animorph(アニモーフ)」から着想を得た「Animorph Painting」シリーズでは、人間が動物へと段階的に変身するアニモーフの描写をもとに、レンブラントから『ドラゴンボール』の孫悟空、カラヴァッジオから元アメリカ合衆国大統領のジョージ・ブッシュへ、美術史上の肖像画を現代のアイコンへ変身させた作品を披露。今回の会場である「NANZUKA」所属のアーティストである空山基の代表作である「セクシー・ロボット」をモチーフにした新作を含む4点が展示される。

MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA
MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA

MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA
MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA
MSCHF Material Values Exhibition at NANZUKA

書籍やTシャツなど、実際に買えるアイテムも

さらに、アメリカのオフィスで一般的に用いられるパーテーションで区切られた空間「オフィス・キュービクル」を再現したインスタレーション「RAIN CUBICLE SCULPTURE」では、電源が供給される限り、オフィスに雨が降り続ける仕掛けを装備。現代社会における労働の退屈さや無意味さを暗示するとともに、資本主義が生み出す労働の矛盾を表現したという。
「マテリアル・バリュー」には、こういった摩訶不思議なアート作品を体験できるだけではなく、実際に購入できるアイテムが用意されている。〈MSCHF〉のこれまでの活動を総括した書籍「Made by MSCHF」が数量限定で発売されるほか、スニーカーをモチーフにした「NANZUKA SuperNormal」や、某トレーディングカードゲームを模した「Boosted pack」、同展オリジナルのグラフィックをあしらったTシャツやロングTシャツなどもラインナップ。これらは2月1日(土)から「NANZUKA」の公式オンラインストアでも販売中だ。
〈MSCHF〉の「マテリアル・バリュー」は2月1日(土)~3月22日(土)の期間中、「ナンズカ アンダーグラウンド」で開催。世界から熱い視線を集めるアート集団の最新作品を体験したい方は、この機会をお見逃しなく。
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