物欲は高いモノを買わなくても満たされる


Written / Photo : LIVE IN RUGGED

10代~20代で失敗を繰り返し、30代になると物欲の価値観が定まる

15歳の時にファッションが好きになり、約27年間物欲と戦い続けてきて分かったことがいくつかある。ひとつは、高価であることはさほど重要ではないということだ。
とにかく日本にはモノが溢れていて、膨大な情報が日々押し寄せてくる時代。私が洋服に目覚めた90年代後半は雑誌が主な情報収集源だった。アメカジ好きの高校生にとって「STREET JACK」や「BOON」、「POPEYE」などの雑誌は少ない所持金をはたいて手に入れるバイブルのようなもので、そこに載るアイテムの中から自分が欲しいモノ、買えるモノを選ぶしかなかったのだ。余談だが、今思えば当時流行していたモノのほぼすべてに木村拓哉さんが絡んでいたことは凄いと思う。
若い頃は見栄もあるし、自分なりの価値観が定まっていないので流行に流されやすい。この時に買い物で失敗をすることはとても重要なことで、私自身も何度も失敗をした。流されて高いモノを買ってしまったり、1シーズンしか着れないようなものを買ってしまったりする。物欲魔の通過儀礼と言って良い。
20代になってからもしばらくは自分の中で一本筋が通るような価値観は定まらず、何度か失敗を繰り返す。ただ、この時期に購入したいくつかのモノたちは今でも愛用しているモノがある。流されがちだった自分も少しづつ学んでいたようだ。
30代を超えるとスッと一本筋が通ってきた気がしている。自分が本当に大好きなモノ、長く使えるモノ、40代になってからも愛せるであろうモノを自然と好きになり、選べるようになった。そして、やっぱり高いモノじゃなくても幸せになれるのだと気付く。


レッドウィングの8172は自分の中で定番のワークブーツ。酷使し過ぎて小汚いルックスになってしまっているが今でも愛用している。ドゥニームの662も目下エイジング中。上の時計はSHCのクロノグラフ。と言ってもクオーツなので全然凄いモノではない。チュードルのオイスターデイトは10年近く愛用している相棒のような存在だ。

チュードルのオイスターデイト。70年代のヴィンテージで手に入れてからは一度もオーバーホールをしていないのに毎日元気に動いてくれている。初めて購入した機械式時計なので思い入れもひとしお。

20代後半頃から「それほど高くなくても良いモノはたくさんある」ことを実感した

15歳の時にファッションが好きになり、約27年間物欲と戦い続けてきて分かったことがいくつかある。ひとつは、高価であることはさほど重要ではないということだ。「値段は高くなくても良い」と聞くと負け惜しみを言っているように思われそうだけど、そうではない。そこそこの値段でも充分満足できるモノが世の中にはたくさんあるだけなのだ。
私はごく普通のサラリーマンなので、そういった「まずまずの値段で高品質なモノ」に出会えたことはラッキーだったと思っている。高額なモノや有名ブランドの一流品に良いモノが多いことはまったく否定しないが、多くの人にとってそれらは現実的な選択ではないだろう。
ここからは男がこだわるファッションアイテムの筆頭である腕時計や革靴、そしてジーンズに絞って話を勧めさせていただきたい。
腕時計はロレックスが絶対的王者に君臨し、他のスイス製ウォッチが周囲をガッチリ固めているのが高級腕時計の世界だ。私が機械式時計を買おうと決意した約10年前、一番最初に頭に浮かんだブランドもロレックスだった。ただ、当時も高額だったことと、最初の機械式時計としてはハードルが高かった(いきなりロレックスはビビってしまった)ので、兄弟ブランドであるチュードルに的を絞ることとなる。これが結果的に最良の選択だった。腕時計に詳しい方には説明不要だが、チュードル(特にヴィンテージ)はロレックスとパーツを共有しており、高品質な時計を比較的安価に手に入れられるブランド。当時7万円程度で手に入れたオイスターデイトは今も愛用している。


SHCの時計はクラシカルなルックスをリーズナブルに楽しめるデザインがポイント。

レッドウィングやデニム製品などのアメカジアイテムとの相性も良い。

ブーツもジーンズも「それなり」くらいの値段で幸せいっぱい

ワークブーツは20代の頃からレッドウィング一辺倒。ウエスコやホワイツに強烈に憧れた時期もあったが、気軽に買えてカジュアルに履けるのはレッドウィングしかないことに気付く。10万円前後する革靴を買えないことはないが、いかにも気を遣ってしまいそうでこれまで購入したことはない。トリッカーズも何足か所有している。レッドウィングよりは高いものの、それでも4~5万円程度。ウエスコの約半額だ。少し話が逸れたが、レッドウィングを愛用する人の多くがリーズナブルさにも惹かれているはずだ。値段と品質のバランスが完璧なブランドとして他に敵はいない。
ジーンズの場合、自他共に認めるデニム狂なのでこだわりは相当強い。それでも購入するジーンズのほとんどが2万円前後なので、支払っている金額としては常識的なレベルだろう。もちろんもっと安いモノを探せばいくらでも見つかるけれど、ジーンズは大体2万円前後のモノがデザインもクオリティも最高レベルを手に入れられる。


レッドウィング、ドゥニーム、SHCの時計をフェンダー・ストラトキャスターと共に。どれもそれなりの値段だがモノとしては一級品(時計以外は…)。

バックポケットに入れた財布はVAN AMBURG LEATHERS(ヴァン・アンバーグ・レザーズ)。スティングレイ(エイ)レザーは強固すぎて10年以上ヘビーユーズしてもへこたれない。

物欲魔として楽しく生きていくために必要なこと

もちろん全部をできるだけ安く済ませましょうというわけではないし、それだとあまりにも寂しい。時計だけ高いモノしか着けないという人もたくさんいる。そしてその気持ちはとてもよく分かる。
要は「何にどれだけこだわるか」と「モノの本質を学ぶこと」が大切なのではないか。頑張って奮発するのはどのアイテムにするか。どのくらいお金を払えば本当に良いモノを買えるのか。振り返ってみると、10代~20代にかけての買い物遍歴はこれらを学ぶ基礎作りのようなものだった気もする。
買い物をするにあたり、高額であることはそれほど重要ではない。それよりも自分の価値観をしっかりと持つことと、モノ自体の品質を見極める審美眼のようなものを養うことこそ、物欲魔として楽しく生きていくうえで必要な要素なのかもしれない。

ITEM CREDIT
  • Tudor:Oysterdate (70’s vintage)
  • Red Wing:8172
  • Denime:662
  • SHC:Pilot Chronograph Type Ⅱ
  • Xallet:Crocodile leather bracelet / Skull button
  • Guns N’ Roses:Appetite For Destruction T Shirts
  • Fender:Stratocaster 3 tone sunburst

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