Endless longing for Paul Newman Daytona

ポール・ニューマン・デイトナへの尽きぬ憧れ

絶対に手に入れられない存在になってしまっても憧れの気持ちは消えず!ヴィンテージ・ロレックスの中でも屈指の人気と別格の存在感を持つポール・ニューマン・デイトナの魅力を改めて見つめ直してみよう。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Sotheby’s

タイムマシンがあるなら過去に戻って買い占めたい…。

世の中には喉から手が出るほど欲しいのに絶対に手が届かないモノがある。〈ROLEX(ロレックス)〉のヴィンテージ・ウォッチ、特にDAYTONA(デイトナ)はその最たるものだ。現行モデルの手に入れにくさについてはこちらの記事で触れた通り。そして、現在のデイトナ人気を決定づけたモデルが言わずと知れたPaul Newman Daytona(ポール・ニューマン・デイトナ)だ。
俳優のポール・ニューマンがオンオフ問わず愛用していたこと、白文字盤のエキゾチックダイヤルを持つ個性的なデザインであったことから「ポール・ニューマン」もしくは略して「PN」と呼ばれることもあるこの時計は、発売当時は不人気モデルであったことが信じられないほど、ヴィンテージ・ロレックスの人気をけん引してきた。このモデルなくして現在のヴィンテージ・ロレックスブームはなかったと言っても過言ではないのではないだろうか。
この時計の存在は知ったのは今から20年近く前で、当時発売されていたファッション誌だったことを覚えている。たった数ページ程度の時計特集の中で当時人気が爆発していたEXPLORER I(エクスプローラーI)に追いやられるように小さく掲載されていたポール・ニューマン・デイトナは、珍しいヴィンテージ・ロレックスであることが簡単に紹介されている程度の扱いだった。確か値段は500万円前後だったと記憶している。どちらかというとマニア向けのモデルであることが誌面から伝わってきたことし、当時19~20歳だった私にその良さが分かるわけもなかった。もっとも、当時ポール・ニューマン・デイトナの価値を正しく理解し、先見の明をもって手に入れた人なんてほとんどいなかったのではないだろうか。
その後長い時間を掛けてあれよあれよという間に価値が上がり、市場価格は文字通りうなぎ登りに。今では東京都内のマンションもしくは一戸建てを購入できるほどの超高価格モデルに化けたのはご存じの通り。タイムマシンがあるなら数十年前に戻って買い占めたい…なんて馬鹿なことを妄想したのは筆者だけではないはずだ。

PNデイトナは天才的なデザインセンスで時計をアートの次元まで昇華させた

ポール・ニューマン・デイトナには型番違い、文字盤違い、素材違いなど様々なモデルが生産されていたことが確認されている。どれを好むかは人それぞれなのだけれど、もっとも安定した人気を持ち広く知られているのが本記事でクローズアップしているRef.6263 MK 1.75の白黒パンダモデルだろう。1970年製なので今から52年前に作られた立派なヴィンテージウォッチだ。ステンレススチール製のケースとブレスレットにETA社製のValjoux(バルジュー)72を搭載。このバルジュー72というムーブメントはヴィンテージ・クロノグラフ黄金時代の象徴であり、「バルジューを搭載」ということ自体がひとつのブランドのようになっている。そういったメカ的な面に一番の魅力を感じるファンも多いかもしれない。
しかし、やはり最大の魅力はデザインではないだろうか。超王道の3つ目クロノグラフをベースにしながら、文字盤上に散らばる細部のデザインにアレンジを加え、大胆な白黒カラーに落とし込んだ天才的なデザインセンス。似たようなパンダカラーのクロノグラフは新旧問わず多くあるものの、ポール・ニューマン・デイトナほどクールで個性的でプレミアム、かつラグジュアリーなモデルには出会ったことがない。ポール・ニューマン本人が愛用していたRef.6239は文字盤外周が赤×黒になっており、Ref.6263とは雰囲気が異なることも興味深い。金無垢モデルやブラウンチェンジなどを含めると、ポール・ニューマン・デイトナには意外なほど選択肢があるのだ。
ただし、どれを選んでも最低2,000万円以上、モノによっては5,000万円を超えることもあるため、普通の務め人(もちろん筆者を含む)にとっては文字通り雲の上の存在。新車の〈FERRARI(フェラーリ)〉をポーンと買えるようなスーパーリッチな人しか手に入れることができない超特殊なモデルになってしまった。

これからもずっと続く尽きぬ憧れ

つまり、一言で片づけてしまうとポール・ニューマン・デイトナは自分の人生にはまったく関係のない存在。それなのに古いデイトナ関連のニュースや記事を見つけるとチェックせずにはいられないのは、この時計を心底愛し憧れているからだ。住む世界が違うとてつもない美女…例えば歌手や俳優など…に密かに憧れている感情に近いかもしれない。有名人の画像をコレクトする趣味はないけれど、私のPCにはポール・ニューマン・デイトナの美しい高解像度画像が何十枚も保存され、定期的に気が向くままに眺めてため息をついている。たかが時計をそこまで好きになる?と呆れるだろうか?しかし、この時計は今この瞬間も世界中の時計ファンにため息をつかせているのだ。絶対に手に入れる日は来ないだろうけれど、ポール・ニューマン・デイトナへの尽きぬ憧れはこれからもずっと続いていくだろう。
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