How do we get the Rolex Daytona?

ロレックス・デイトナ – 現行モデルにして幻のように手に入らない最高のクロノグラフについて

今日も「ロレックスマラソン」を続ける猛者がいることを思うと胸が熱くなる。欲しくても買えない腕時計の代表格、〈ロレックス〉デイトナにクローズアップ。シーラカンスのような幻の現行モデルは本当に苦労してまで買う価値があるのだろうか?


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : ROLEX

世界で一番需要と供給のバランスが噛み合っていない腕時計、〈ロレックス〉デイトナ

人気、実力、市場価値、そして入手のしにくさの4点でスポーツウォッチの頂点に君臨する〈ROLEX(ロレックス)〉DAYTONA(デイトナ)。特に現行モデル(Ref.116500LN)の人気は想像を絶するレベルで、〈ロレックス〉正規店で購入すること自体が至難の業と言われている。入荷自体が滅多にないため例え毎日都内の正規店全店を廻っても最低数ヵ月、巡り合わせが悪ければ1年以上も購入できないと言われるほど。これは大げさでもなんでもなく、実際に「ロレックス・マラソン」と呼ばれる正規店行脚を1年以上ほぼ毎日続けている猛者がいるのだ。彼らは可能な限り毎日東京都内の正規店を巡り、店員から完全に顔を覚えられながら「今日もありません」と告げられ、それでも次の日もめげずに来店し続ける。まるで無限ループのような行いを毎日のようにするほど欲しくてたまらない腕時計…それが現行モデルの〈ロレックス〉デイトナである。
デイトナ自体は昔から常に人気上位に君臨するモデルではあったものの、なぜこれほどまでに人気が爆発したのだろう?ひとつは〈ロレックス〉というブランド自体が過去最高クラスの人気を得ているから。コアな時計好きはもちろん、それほど興味のない人たちをも巻き込んで「スイス製の腕時計と言えば〈ロレックス〉が最高」という市場価値を築き上げたからだろう。
2つめはブランディングが成功した〈ロレックス〉の中でデイトナがヒエラルキーのトップに君臨するモデルだから。〈ロレックス〉にはDAY-DATE(デイデイト)という最上位モデルがあるが、デイトナはいわばフラッグシップモデルのような存在。もっとも有名で、もっとも憧れの的であることが一番人気という結果に直結している。実際〈ロレックス〉正規店への問い合わせトップは常にデイトナの在庫の有無の確認なのだという。
3つめはここ数年のヴィンテージモデルの類を見ない人気の高騰である。2017年10月にフィリップスのオークションに出品された俳優のPaul Newman(ポール・ニューマン)本人が愛用していたデイトナ・ポール・ニューマンダイヤル(Ref.6239)が腕時計史上最高額である20億円以上で落札されたことは記憶に新しいが、そういったセンセーショナルなニュースを起爆剤としてヴィンテージのデイトナの市場価値が爆発的に増加。ほとんどすべての古いデイトナが1,000万円超えの値段になり、一般人には決して手の届かない存在になってしまったことも影響している。
もちろん現在作られているデイトナ自体の完成度が非常に高いことは大前提としてあるものの、そういった複合的な要因が積み重なることで〈ロレックス〉デイトナは超がいくつも付くほどの人気モデルになった。世界一需要と供給が嚙み合っていない腕時計と言ってもいいだろう。先に述べた「ロレックス・マラソン」の例が分かりやすいが、新品のストックが常に枯渇している状態のため並行店では定価(約126万円)の2~3倍近いプライスが掲げられ、それでも売れているという異常事態にまで発展している。当然〈ロレックス〉自身も並行品にとてつもないプレミアが付いていることを把握しており、転売目的で購入されることを防ぐために、ただでさえ在庫が少ないデイトナがわずかに入荷した際は売る相手を選んでいるという噂もある。「売る相手を選んでいる」と書くと殿様商売をしているように感じるかもしれないけれど、ブランド側としては実際に愛用してくれる人に売りたいと考えるのはごく自然なことだ。だから、毎日店舗に訪れて根気よく入荷の有無をたずねる忠実な〈ロレックス〉ファンの中から「売り先」を吟味するのはある意味で仕方のないことなのかもしれない。もちろん、本当にタイミングの問題で1年以上通っても購入できていないという場合もあるのだろう。
前置きがとても長くなってしまったが、本記事では世界中の時計好きを夢中にさせる〈ロレックス〉デイトナ、それも現行モデル(Ref.116500LN)の魅力をできる限り掘り下げて紹介する。一体この腕時計にはどんな魅力があるのか?機能は?見た目は?本当に買う価値があるのか?ひとつひとつを紐解いていくとあなたも居ても立っても居られないほどデイトナが欲しくなってしまうかもしれない。少なくともこの記事を書いている筆者はお金もないのに「何とか手に入れることはできないか?」と考え出す始末。さぁ、魅惑的なデイトナワールドへようこそ!


黒文字盤よりも人気が高く、市場でも20万円前後相場が高い白文字盤。ベゼルとのパキッとしたコントラストも魅力だ。

黒文字盤はデイトナの定番として安定の人気を誇る。男らしく精悍なルックスは何年経っても飽きがこない。


超クローズアップして見ても一切の破綻がなく細部まで美しい。

クロノグラフが好きで「DAYTONA」のモデル名に憧れを抱かない人はほとんどいないのでは。

「神は細部に宿る」をあらゆる面で実現する現行型の〈ロレックス〉デイトナ

現行モデル(Ref.116500LN)は2016年のバーゼルワールドで登場。ラインアップは黒文字盤と白文字盤の2カラーで、白文字盤の方がやや人気が高い。ポール・ニューマン本人が愛用していたヴィンテージのデイトナに代表される、ここ数年のエキゾチックダイヤル人気も影響しているのだろう。市場価値としては白文字盤は黒文字盤に比べて平均20万円前後高く取引されているようだ。
最新のデイトナの最大の特徴はベゼルがセラミック化されたこと。〈ロレックス〉が自社開発した完全オリジナルのセラクロムベゼルは耐蝕性と耐傷性に優れ、紫外線による影響を受けにくい特徴がある。つまりほとんど傷が付かず、経年変化で色が変わることもないということ。ヴィンテージの〈ロレックス〉はデイトナに限らず経年変化でベゼルの色が変化することがあり、それも個性を感じる大きな魅力だったのだけれど、セラクロムベゼルは恐らく50年経っても見た目はほとんど変化しないと思われる。これを良しとするかつまらないと感じるかは人それぞれだが、一流のウォッチメーカーとしては傷が付きやすく脆かったベゼルを強化することは必須条件。ちなみにこのセラクロムベゼルはPVD(物理蒸着)加工によって目盛り部分をプラチナの薄い層でコーティングしており、よく見ると目盛りに刻まれる文字部分が上品なシルバーカラーであることを確認できる。あらゆるパーツをより強靭でラグジュアリーに改良する〈ロレックス〉のモノ作りへの姿勢を感じるアップデートだ。
ちなみに腕時計の心臓部であるムーブメントは一世代前から変化せず、2000年に開発された自社開発のCal.4130を搭載している。とはいえこのムーブメントは〈ロレックス〉の肝いりで、他社の標準的なクロノグラフムーブメントよりも部品点数を抑えることで機械としての信頼性を向上させ、精度に関してもこれ以上望めないほど正確。当然他のモデルと同様にスイス公認クロノメーター検査協会(COSC)のテストに合格した高精度の時計にのみ与えられる、クロノメーター認定を受けている。
デイトナのムーブメントといえばかつて搭載していた〈ZENITH(ゼニス)〉製のEL PRIMERO(エル・プリメロ)こそが至高だと評価する人が今も多い。実際はムーブメントの50%くらいは〈ロレックス〉がデイトナ用に手を加えたらしいのだが、確かにエル・プリメロ時代のデイトナは機械的にもストーリー的にも非常に魅力がある。ただ、〈PORSCHE(ポルシェ)〉の言葉を借りるならばデイトナも「最新こそ最良」なのではないだろうか。膨大な時間とコストを投入して完全自社開発をした〈ロレックス〉のムーブメントは過去のどのモデルと比べても最高峰であることは疑いようがない。


文字部分にプラチナのコーティングが施されるセラクロムベゼル。細部に徹底的にこだわることでワンランク上の上質さがプラスされる。

文字盤内周に刻まれる偽造防止の彫り込み。ブランドネームと王冠のアイコンが連続して刻まれる。


〈ロレックス〉はシースルーケースを決して作成しないため通常は見る機会すらないが、ムーブメントもご覧の通り機械的な美しさがたっぷり。すべてのパーツが精密に組み合わされることで精度の高さを実現。

超高品質のステンレススチールやジュエルを贅沢に用いたムーブメントは、〈ロレックス〉が膨大な時間を掛けて開発したオリジナル。


ロレックスのオリジナリティのひとつであるねじ込み式のリューズとプッシャー。防水性を高めると共にホコリや塵が時計内部に入ることを防ぐ。そして見た目が最高にかっこいい。

この薄さからは想像できないほどの強度と耐久性を持つセラクロムベゼル。こういったパーツを自社開発できるのも〈ロレックス〉の強みだ。

どれほど時間が掛かってもめげずに求め続けた勇者にこそ手に入れてほしい、ベストオブベストのクロノグラフ

正規店で手に入れられる可能性が限りなく低いことと、並行店でとんでもないプレミアが付いているデメリットを考えても、現行モデルの〈ロレックス〉デイトナが買うに値する腕時計であることは間違いない。〈ロレックス〉ファンの多くが買えるなら買いたいと真っ先に思い浮かべるモデルではないだろうか。長年培ってきた歴史や伝説的なエピソード。頭一つ抜けて美しいデザイン。圧倒的なエンジニアリングとこだわりぬいた素材。もちろん手に入れた時の満足感などの付加価値も並大抵ではないはず。手に入れること自体が称賛に値する…デイトナはそんな腕時計なのだ。
日本国内で手に入れる場合、先に述べたように「根気強く正規店に通い続ける」か「プレミア価格を支払って並行店で購入する」2パターンに限られる。イレギュラーの手法としては海外に旅行をした時などに〈ロレックス〉のブティックで購入するという手もあるが、どの国であってもデイトナが常にストックしてあるわけではないのでこちらは運次第(日本よりもアメリカの方が遭遇しやすいという噂もある)。また、近年は信頼できる腕時計専門のECサイトやアプリも人気だ。家から一歩も出ずにデイトナのような超人気モデルも購入可能なので、抵抗のない方はそういったサービスで目的のモデルを探してみるのも良いかもしれない。ただしその際は必ず信頼できるショップから購入すること。個人間の売買はおすすめできない。言うまでもなくヤフオクやメルカリなどのリユースマーケットで個人間売買をすることはもっとも愚かな行為なので注意されたし。高確率で偽物を掴まされる可能性が高い。
ヴィンテージはもちろん、現行モデルまで喉から手が出るほど欲しくても手に入らないのはもどかしさすら感じてしまうけれど、それもすべて〈ロレックス〉デイトナの人気の裏返し。お金さえ払えば今日にでも並行店でまっさらなニューモデルを手に入れることができるだろう。でも、金額的な差額を抜きにしても可能であれば正規店で購入したいと思うのが多くの時計ファンの共通の気持ちなのでは。〈ロレックス〉にはぜひとも今の2倍くらいは多くデイトナを生産してほしいところだが、ブランディングの観点から意図的に生産数を抑えていることは間違いないためこれも期待できない。現行モデルですら幻のような存在になってしまった〈ロレックス〉デイトナは、やはり買える機会があればチャンスを逃さずにゲットすべき腕時計ナンバー1だ。
LIVE IN RUGGEDがお届けする〈ロレックス〉の記事はこちらから。
1年間も店舗に通えるかよ!という方は、いっそのことメタリックメテオライトの文字盤が美しい最新型のゴールド製デイトナはいかがだろうか。こちらはステンレススチールよりも玉数的には手に入れやすい(はず)。
また、ヴィンテージこそ至高という揺るぎない信念をお持ちであればレアなプレ・デイトナ伝説的なポールニューマンダイヤルのRef.6263は最高の選択となるだろう。
腕時計を巡る旅の最終ゴールにふさわしいゴールド製の〈ロレックス〉サブマリーナも究極を求める方にぜひ。

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