Rolex Daytona with Zenith El Primero

今も時計ファンが血眼で探し求める、ゼニス・エル・プリメロを搭載するロレックス・デイトナとは?

コアな時計好きが今もラブコールを送る名機エルプリメロを搭載した歴史的なデイトナの魅力に迫る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Sotheby’s

発売から20数年が経過しても狙い撃ちしたい、ネオ・ヴィンテージの〈ロレックス〉デイトナ

人気、実力、市場価値、そして入手のしにくさの4点でスポーツウォッチの頂点に君臨する〈ROLEX(ロレックス)〉DAYTONA(デイトナ)。現行・ヴィンテージ問わずすべての個体がプレミア化するほどの人気を持ち、現在の〈ROLEX(ロレックス)〉の世界的人気を牽引する代表的なモデルだ。特に現行モデル(Ref.116500LN)の人気は想像を絶するレベルで、〈ロレックス〉正規店で購入すること自体が至難の業と言われている。入荷自体が滅多にないため例え毎日都内の直営店全店を廻っても最低数ヵ月、巡り合わせが悪ければ1年以上も購入できないと言われるほど。現在新品で手に入る腕時計としては、〈ロレックス〉デイトナほど入手困難なモデルは滅多にないと言っていいだろう。
とはいえ、まっさらな新品である現行モデルにこだわりがない方も多いのではないだろうか。時計の醍醐味は10年以上前に作られた個体であっても、モノによっては当時よりも価値が上がっている場合もあること。〈ロレックス〉デイトナの場合は1960~70年代のリアルヴィンテージを頂点的存在とするならば、1990年代に製造されていたモデルにもぜひ注目してほしい。なぜなら、この年代の〈ロレックス〉デイトナは歴史的に見ても革新的なモデルだから。本稿では発売から20数年が経過した今も狙い撃ちしたくなる、1996年製の〈ロレックス〉デイトナの魅力に迫る。

時計業界に衝撃を与えた名ムーブメント、エル・プリメロ

〈ロレックス〉ファンおよび時計好きには説明不要かもしれないが、第4世代となるRef.16520はデイトナにとって大きな転換期だった。初代誕生から一貫してValjoux(バルジュー)社製の手巻きムーブメントを搭載していたデイトナが、1988年についに自動巻きムーブメントを搭載し、それに合わせて外観などすべてを一新したという背景があるからだ。その際に搭載していたムーブメントが〈ZENITH(ゼニス)〉が生んだ名機、〈EL PRIMERO(エル・プリメロ)〉である。
〈ゼニス〉は1865年に創業した時計メーカーで、ムーブメントも自社開発するマニュファクチャールとしても名高い。エル・プリメロは1969年に発表された世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントであり、毎時36,000振動というハイビートと50時間以上のパワーリザーブという革新的なスペックを備えていたことで世界に衝撃を与えた。現在でも多くの機械式時計が28,800振動、かつ1秒間にテンプが8回振動することがスタンダードになっているのに対し、エル・プリメロの36,000振動、1秒間にテンプが10振動という数値は、精度という観点で頭ひとつ抜けた性能を持っていることを意味する。通常は振動数が高いと部品が摩耗しやすく、オイル切れが懸念されるのだが、〈ゼニス〉は独自に開発した潤滑油によって耐久性もクリア。半世紀前に生まれたムーブメントでありながら現在の基準に照らし合わせても世界最高水準のレベルであることも、エル・プリメロの凄さを物語っている。まさに時計業界におけるブレイクスルーであり、メーカを問わずその後の開発に多大な影響を与えた名ムーブメントなのだ。

Rolex Daytona with Zenith El Primero
Rolex Daytona with Zenith El Primero

Rolex Daytona with Zenith El Primero
Rolex Daytona with Zenith El Primero

生産終了から20数年が経っても色褪せない魅力

当時〈ロレックス〉はエル・プリメロを搭載するにあたり、〈ゼニス〉から提供を受けたムーブメントをそのまま使うのではなく独自に調整した点にも注目したい。先述の通りエル・プリメロは毎時36,000振動というハイビートが自慢のひとつなのだが、〈ロレックス〉は耐久性を重視して28,800振動に調整。テンプを大型化し、マイクロステラナットを採用することでクロノメーター認定の精度を保つ工夫を施すなど、実用性と品質を特に重視する〈ロレックス〉らしい判断がなされている。ちなみにRef.16520から防水性能を100mにアップデートし、風防はサファイアガラスに。先代モデルよりも現代的な仕様になったこの年代のデイトナは、実用面でも何ら不安なく今でも日常使いが可能だ。
1988年から発売が開始されたRef.16520は2000年に後継モデルに移行。その後継モデルであるRef.116520では初めて自社開発のクロノグラフムーブメントを搭載することになるのだが、約12年もの間〈ゼニス〉のエル・プリメロを搭載したRef.16520は、歴史的にも非常にアイコニックなモデルだ。現行モデルに続くデザインの始祖であり、80年代後半~90年代というネオ・ヴィンテージならではの経年変化が現れている個体も多いことも魅力的。本稿に掲載している個体もインダイヤルの外周がややブラウンアイ化しており、ピカピカの新品では味わえない渋さを楽しめる点にも時計好きであれば惹かれてしまう。
Ref.16520は1990年代後半頃に市場価値が上昇し始め、生産終了後も年々価格が上昇。現在でも変わらぬ人気を維持しており、「ロレックス・バブル」と呼ばれる現在の異常な価格高騰が起きてからはますますプレミア化している。しかし、60~70年代のリアルヴィンテージよりは遥かに手が届きやすいプライスなので、初めて〈ロレックス〉デイトナを購入する際にぜひ候補に入れていただきたいモデルだ。〈ロレックス〉が完全自社開発したムーブメントを搭載したモデルを至高とするか、〈ゼニス〉が開発した名機を搭載するネオ・ヴィンテージを至高とするかは人により価値観が異なるところではあるものの、生産終了から20数年が経っても色褪せない魅力を放つRef.16520は、コアな時計好きならずともおすすめしたくなる名モデルなのだ。
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カスタムウォッチメーカー〈Artisans de Genève〉が大自然の力を借りて制作した「Rusty」も、デイトナ好きであれば必見。
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