1969 Rolex Red Submariner Ref.1680

ヴィンテージテイストが残る最後のロレックス・サブマリーナ – 「赤サブ」の魅力に迫る

ヴィンテージ・ロレックスの代名詞であるレッドサブマリーナ、通称「赤サブ」はヴィンテージマニアにはもちろん、〈ロレックス〉初心者にもおすすめできる王道モデル。時代を超えて愛されてきたアイコニックな「赤サブ」の魅力に迫る。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

真っ赤な「SUBMARINER」表記で世界のアイドルになった「赤サブ」

1953年に誕生した〈ROLEX(ロレックス)〉SUBMARINER(サブマリーナ)には数多くのバリエーションが存在しており、ひとつひとつにファンがいることは時計好きであればご存じの通り。今日お届けするレッド・サブマリーナ…通称「赤サブ」はそれらの中でも特に有名でアイコニックなヴィンテージウォッチだ。〈ROLEX(ロレックス)〉の長い歴史において世界的に評価されている時計は枚挙にいとまがないが、「赤サブ」はヴィンテージ・ロレックスの代名詞的存在であり、入荷→即完売となりやすい超がつく人気モデルのひとつ。本稿は「赤サブ」に焦点を当て、その魅力を解剖していく。
先述の通り1953年に誕生した〈ロレックス〉サブマリーナに始めて日付表示機能が備わったのが1965年。日付表示機能のあるモデルがサブマリーナ・デイト、従来のモデルはサブマリーナ・ノンデイトとして併売されることになる。「赤サブ」は1965年から1980年頃までに生産されたサブマリーナ Ref.1680の中で文字盤の「SUBMARINER」表記が真っ赤な個体のことを指し、実は正確な生産時期は今でも少し謎に包まれている。Ref.1680生産初期にだけしか存在せず、後期モデルは通常の白い表記となった説もあれば赤白関係なく併売されていた説もあり、この辺りはマニアの間でも諸説あるようだ。
〈ロレックス〉自体がそういった歴史的背景を基本的に公表しないブランドなので実際どうだったのかが本当に明らかになるのはまだ先の話かもしれない。いずれにせよ「赤サブ」は1965年~1980年頃に生産されていたサブマリーナの中にしか存在せず、その特徴的なデザインで時計ファンの心を鷲掴みにしている名機の中の名機であることは間違いない。

1969 Rolex Red Submariner Ref.1680
1969 Rolex Red Submariner Ref.1680

ヴィンテージらしさを感じられる最後の〈ロレックス〉サブマリーナ

ルックス的な部分に魅力が集中せざるを得ないことは当然なのだけれど、この時代の〈ロレックス〉サブマリーナは搭載されるムーブメントも見逃せない。他の主力モデルである〈ロレックス〉エクスプローラーI Ref.1016〈ロレックス〉デイトジャスト Ref.1601にも搭載されていた名機、Cal.1570を心臓部に備えており、ヴィンテージ・ロレックスファンから高く評価されているからだ。
200mの防水性能を備えるCal.1570はメンテナンス性が優れており、耐久性も高いという当時としては夢のようなムーブメントだった。「赤サブ」はヴィンテージの世界で高く評価されているムーブメントを搭載し、ぷっくりと盛り上がるプラスチック風防やインデックスにフチが付かない「フチなしインデックス」であることも強い魅力。ルックスも中身もヴィンテージらしさを感じられる最後の〈ロレックス〉サブマリーナという評価もある。実際、Ref.1680の後継モデルであるRef.16800はプラスチック風防がサファイヤクリスタル風防に変わるなどパッと見て違いが明らかなので、どちらがおすすめか?と訊かれれば「赤サブ」をプッシュしたくなってしまう。

1969 Rolex Red Submariner Ref.1680
1969 Rolex Red Submariner Ref.1680

マニアックなディテールの違いにもグッとくる

〈ロレックス〉サブマリーナ Ref.1680には製造年によって細かい違いがあり、文字盤には6種類ものバリエーションが存在していることをご存じだろうか。
1つめは防水表記自体の違い。製造初期のマークI~マークIIIまでは200m表記が先頭に入る「メーターファースト」で、ノンデイトのRef.5513にも存在する最初期の個体となる。
2つめは「6」の違い。防水性能を示す660ftの「6」がマークIとマークVIは隙間が開いておらずクローズ6と呼ばれ、隙間が開いている個体はオープン6と呼ばれている。
3つめは「F」の違い。かなり細かい話になってしまうのだけれど、フィート表記の「F」が2種類存在するのだ。「F」の上の横棒が長いものはロングF、上下の横棒が同じ長さはショートFと呼ばれ区別されている。
上のフォトギャラリーをじっくりご覧いただければ、本稿に掲載している「赤サブ」は200m表記が先頭に入る「メーターファースト」で、防水性能を示す660ftの「6」に隙間があるのでオープン6。さらにフィート表記の「F」は上の横棒が長いロングFであることが分かるはずだ。これから「赤サブ」を手に入れようと思っている方は、こういった細かいディテールにもこだわりを持って自分にとってのベストの仕様を探すのも楽しいかもしれない。

1969 Rolex Red Submariner Ref.1680

全方位的に見て「赤サブ」に死角なし

クリーミーに変化した豪華なインデックスと文字盤は、私たちがヴィンテージウォッチに求める枯れた雰囲気とゴージャスさが完璧に展開されている。できればルーペでひとつひとつの細部をじっくりと確認したい…そうすれば退色した文字盤の色合いや若干の光の斑点がある針、インデックスよりもわずかに暗い夜光の具合などもより詳細に確認できるだろう。もちろん使い込まれたヴィンテージウォッチ特有の小さな傷やスクラッチもたまらないポイントだ。
時計自体の本質的な価値としてはもちろん、資産価値としても担保されている「赤サブ」は、これまでと同様にこれからも大金を支払って手に入れる価値のある〈ロレックス〉であり続けるだろう。アイコニックな赤い表記がもたらすオリジナリティあふれるデザインと、自己満足感を強烈に満たすヴィンテージ特有の仕様と雰囲気。全方位的に見て〈ロレックス〉の「赤サブ」に死角はない。
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