Longing for a perfectly beautiful Royal Oak

完璧なほど美しいオーデマ・ピゲ・ロイヤルオーク・クロノグラフへの憧れ

ラグジュアリーウォッチに革命を起こした傑作時計、ロイヤルオーク。その派生モデルであるロイヤルオーク・クロノグラフは「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」の走りとしても知られている。まさに高嶺の花的存在である品格あふれるクロノグラフをじっくりと観察し、類まれな美しさに溺れよう。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : HODINKEE

ラグジュアリーで徹底的にオリジナル
そしてイノベーティブなロイヤルオーク・クロノグラフ

〈Audemars Piguet(オーデマ・ピゲ)〉を見ていると、腕時計の世界は果てしなく奥が深いことをつくづく実感する。ため息が出るほど美しいデザイン。デザインの背後に隠された革新的なエンジニアリングや創意工夫。メカニズムへの飽くなき追求心は、知れば知るほど知ったことを後悔するような複雑な気持ちにもなる。なぜなら、自分が今後どれだけ懸命に働いても手に入れられない腕時計である可能性が高いからだ。
中でも〈オーデマ・ピゲ〉の代表モデルとして知られ、ハードコアなウォッチマニアも憧れるRoyal Oak(ロイヤルオーク)を例にとってみても、一般庶民にはあまりに高嶺の花。2針タイプ、3針タイプ、クロノグラフなど様々な派生モデルがラインナップしているが、どれを選んでもおいそれとは買えない安定のハイプライスで、決して値崩れすることがない。身も蓋もないことを言えば自分の人生にはほとんど関係がないと言ってもいいだろう。しかし、腕時計好きのはしくれとして〈オーデマ・ピゲ〉への憧れを持つ者のひとりであるし、何よりもこの記事を読んでくださる方の中には筆者よりも遥かにお金持ちの方も多くいらっしゃるはずで、「〈オーデマ・ピゲ〉って実際どうなの?」と調査中の方もいらっしゃることだろう。そこで、本日はそんな方々のためにロイヤルオークの美しいクロノグラフをフィーチャーし、魅力の一部でもお伝えできればと思う。
まずはロイヤルオーク自体のストーリーを簡単に振り返ってみよう。1972年に初代が誕生し、デザインは鬼才ジェラルド・ジェンタ氏が担当。前例のないオクタゴンベゼルを持つスポーティな外観と、ドレスウォッチのように華奢な繊細さを併せ持つ独特なルックスは腕時計業界に衝撃を与えたと言われている。丸なら丸、四角なら四角のケース形状が当たり前だった時代に円と八角形を組み合わせたこの腕時計はさずかし斬新なデザインだったのだろう。そしてロイヤルオークが衝撃的だったのはルックスだけではなく、素材使いにもある。ラグジュアリーウォッチでありながらステンレススチールを採用したことは当時としてはまさに常識破りで、その後の高級時計のあり方にまで強い影響を与えたと言われている(実際、ロイヤルオークは高級時計というくくりの中ででステンレススチールを世界で初めて採用したモデル)。
クロノグラフタイプのロイヤルオークが誕生したのは1998年。ベースデザインを引き継ぎながらスタイリッシュでスポーティー、そしてラグジュアリーを極めたデザインはまたもや腕時計業界に衝撃を与える。3つのインダイヤルが並ぶこと自体はオーソドックスなクロノグラフの仕様なのだが、立体感のあるギョーシェ彫りの文字盤とミニマルかつ高級感にあふれるインダイヤルとインデックス、針、そしてオクタゴンケースといくつも並ぶビス留めは、〈オーデマ・ピゲ〉のクロノグラフに私たちが期待するすべてを盛り込んだ完璧なルックスだ。
また、ケースやブレスレット、プッシャーに至るまで腕時計のどこを見てもエッジの立ったシャープさがあること、部位によってサテンと鏡面で仕上げを分けたポリッシュにも他にはないオリジナリティを感じる。スポーティーなクロノグラフであってもラグジュアリーであること。そしてオリジナルであり、イノベーターであること。ジェラルド・ジェンタ氏がそういったコンセプトを掲げてデザインをしたわけではないかもしれないが、ロイヤルオーク・クロノグラフを見ているとそんな事実が浮かび上がってくる。


手彫りのギョーシェが独特の質感を与える文字盤。正面から見るとオクタゴン形のベゼルがいかに〈オーデマ・ピゲ〉らしさがあるかが分かる。

角度を変えて眺めるとギョーシェ彫りならではの陰影が表れ、高級感たっぷり。サテン仕上げと鏡面仕上げの違いも落ち着いた大人の雰囲気があり、他ブランドではないラグジュアリーを感じる。

幾多にも及ぶ工程を経て愛好家をうならせる品質を確保する、〈オーデマ・ピゲ〉のこだわり

腕時計の心臓部分であるムーブメントはCal.2385を搭載。自動巻きでパワーリザーブは約40時間と、ごく近年の最新式機械式時計と比較すると目立った稼働時間ではないものの、この腕時計を実際に購入する人にとっては些細なことだろう。また、自社製ムーブメントではないことが時計マニアから批判されることもあるようだが、これもわざわざ問題視するようなことではないと個人的には思う。Cal.2385は実際に使用するユーザーからは評価の高いムーブメントなのだから。垂直クラッチを採用しているためスタート/ストップ時の遊びがほとんどなく、滑らかな操作感が「良いモノ感」をより一層高めている。
ロイヤルオーク・クロノグラフを構成するケースについて話を戻そう。オクタゴンの形が〈オーデマ・ピゲ〉らしさを強く打ち出していることは先に述べたが、ケースは8段階もの工程を経て完成するという。まずベゼルを八角形にカットし、ミドルケースはそれに合わせて丸い開口部にカットされる。このミドルケースはすべての面にサンドブラストがかけられ、続いてラッピング(研磨)ペーストを塗布し、ケースのカット面を浮かび上がらせる。その後、八角形のベゼルにポリッシュ加工を施し、各カット面にニスを塗布して摩耗を防ぎ、ベゼルにサテン仕上げをかける。ベゼルの角度をミドルケースの角度にぴったりと合わせ、アイコニックな六角形のネジで留めるといった具合だ。このいかにも手間と時間が掛かる工程を経て、角度によって美しい輝きを出すケースが完成するのだという。
モノトーン一色で統一されたカラーリングは非常にソリッドな印象。金属の塊感を強く感じるロイヤルオーク・クロノグラフは、当たり前のことかもしれないけれど、このように人の手と最新の機械工作のフローをミックスすることで最上級の腕時計にふさわしい外装を得ているのだ。


リューズとプッシャーも他ブランドのように丸型ではなくオクタゴンを多用した独特の形状。斜めからのアングルはオクタゴン形のベゼルがケースからいかに立体的にセットされているかが良く見える。

ビス留めのブレスレットのデザインもオリジナリティたっぷり。ケースバックにもビスがいくつも入り、あらゆる箇所に「らしさ」を注いでいる。

お金があれば手に入るけど、似合うかどうかは別問題というのも憧れを更に募らせる

腕時計を構成するすべてのパーツに徹底的にこだわるロイヤルオーク・クロノグラフは、金額的にもステータス的にも持ち主を選ぶ腕時計と言える。お金を払えば誰でも手に入れることができるものの、似合うかどうかはまったくの別問題だ。極端なことを言えば、腕時計を単なるステータス、または成功の証と捉える人が身に着けると分不相応に見えるのではないだろうか。数百万円の腕時計を購入できる資金があることは大前提としても、腕時計への愛情、こだわり、そして普段のファッションが洗練されているかも必要とされるように思うのだが、これは考えすぎだろうか?でも、腕時計好きのはしくれとしてはセンスの悪い成金には決して身に着けてほしくないモデルだったりもするのだ。デザインにとことん惚れて、メカ的な要素もある程度は理解し、憧れ抜いて手に入れ、きちんと大切に愛用できる人…ロイヤルオーク・クロノグラフにはそんなオーナーがふさわしいと勝手に思い描いている。
そんな勝手な理想を頭の中に思い描いているからこそ、ロイヤルオーク・クロノグラフはいつまでも高嶺の花で憧れの存在なのかもしれない。だって、自分がこの腕時計を手首に巻いている姿はまったく想像できないのだから。
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