Artisans de Genève Rusty

大自然の力を借りて ROLEX DAYTONA にエイジング加工を施した Artisans de Genève「Rusty」

カスタムウォッチブランド〈Artisans de Genève〉がひとりの顧客のために製作したヴィンテージスタイルのデイトナは、文字盤などを特殊な技術と環境で酸化させた唯一無二のエイジングを実現。


Written : LIVE IN RUGGED
Photo : Artisans de Genève

特殊な加工を施したうえで10週間「熟成」させた〈ROLEX〉デイトナ

LIVE IN RUGGEDではこれまでいくつかのカスタムウォッチを紹介してきた。〈SKELETON CONCEPT(スケルトン・コンセプト)〉によるシースルー仕様のデイトナ「ETO’O CONCEPT」、〈MAD Paris(マッド・パリ)〉が作る近未来調のサブマリーナは、オリジナルメーカーとは異なるアプローチで作られており、熱狂的な時計ファンが長いウェイティングリストに加わっている。
そして、2005年にスイス・ジュネーブに設立された時計工房〈Artisans de Genève(アーティザンズ・ドゥ・ジュネーブ)〉が元F1レーサーのJuan Pablo Montoya(ファン・パブロ・モントーヤ)氏のために製作した「La Montoya」も、熱心な時計ファンの方であれば覚えていらっしゃるかもしれない(記事はこちら)。スイス全土から100人以上の時計職人が集まり、2年以上もの研究開発期間を経て完成したという「La Montoya」は、その斬新なルックスと常軌を逸した完成度の高さで時計ファンの度肝を抜いた(筆者も初めて見た時は衝撃のあまりしばらく貪るように画像に見入ってしまった)。
本稿で紹介する時計は、〈Artisans de Genève〉が製作した最新のカスタム・ロレックス。言わずと知れた〈ROLEX(ロレックス)〉を代表するDAYTONA(デイトナ)の2世代目モデル、Ref.116520をベースにフルカスタムで経年変化したかのような風合いを加えた「Rusty」だ。
〈Artisans de Genève〉は顧客から持ち込まれた時計に希望のカスタムを施すビジネスモデルを行っており、「Rusty」もとある顧客から「祖父が着けていた時計のようにしてほしい」というリクエストを受けて生まれた。この時計をオーダーした顧客は以前からエイジングを重ねて独特の風合いを身にまとった時計に魅了されており、〈Artisans de Genève〉に相談を持ち掛けた時は第2世代の自動巻きデイトナを過去にタイムスリップさせたようなユニークな時計にしたいと考えていたという。
そこで、〈Artisans de Genève〉は自然の力を借りた熟成技術である「酸化緑青法」を開発。これは特殊な技術で加工を施した後に世界で最も湿度の高い島の1つであるアゾレス諸島に時計を持ち込み、誰からも発見されない秘密の場所で10週間もの間「熟成」させるという驚きの手法。年間を通して湿度が高く、濃霧が発生することも多いうえに気温が一定しているアゾレス諸島の特殊な環境は、加工後の〈ロレックス〉デイトナのベゼルやダイヤルなどに理想的なエイジングを与えた。10週間の間、自然の力で少しずつ…まるでスモークされたチーズのように「熟成」させたこの時計は、顧客が望む完璧な緑青状態に変化。そうやって完成したのがこの「Rusty」なのだ。

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顧客の要望を受けてスペシャルモデルの製作が決定すると、細部のディテールを含めたデザイン画が描かれる。この時点で時計の完成形が見えているのが興味深い。
Artisans de Genève Rusty
冬でも穏やかな気候が続くアゾレス諸島。頻繁に霧が発生するほど湿度が高いため、「Rusty」のような時計のフィニッシュ加工にはうってつけの場所なのだろう。
Artisans de Genève Rusty
〈Artisans de Genève〉は「Rusty」に安全かつ最高のエイジングを与えるために、部外者が決して発見できない秘密の場所に時計を保管。10週間という長い間監視を続けたという。

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ベゼルの文字は見たことがないほど濃いブラウンカラーに変化している。
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インダイヤルの変色も凄まじい。「トロピカル」や「ブラウンチェンジ」と呼ばれるヴィンテージウォッチとは明らかに異なる風合いだ。

ヴィンテージウォッチファン垂涎のルックス

顧客からの「祖父が着けていた時計のようにしてほしい」という要望を可能な限り最高の形で実現するために、〈Artisans de Genève〉はひとつひとつのパーツがリアルなエイジングを果たした状態を目指した。時計全体のカラーホイールは熱帯のアゾレス諸島の気候を思い起こさせる琥珀色で構成。わずかにブラウンチェンジした文字盤上にあるインダイヤルは数百年前の古い地図のようにヤレた風合いを持っていて、ヴィンテージマニアにはたまらない雰囲気だ。琥珀色と蜂蜜のような濃い色合い、そして経年変化した黒檀を思わせる色合いが織り交ざり、これまで目にしたことのあるすべての時計と比べても非常にユニークなルックスに仕上がっている。
日中はクリーム色で暗闇の中では蓄光性の淡い光を放つ、Luminova バックライトテクノロジーを搭載するなど、意外と(?)現代的な工夫も施されているのもポイント。さらに完璧にオンリーワンの時計にするべく、ムーブメントにも手が加えられている。
Cal.4130のギアトレインをローズゴールド製に交換し、ムーブメント単体を眺めた時に上品なコントラストが出るようにしているほか、ゴールド製のローターを採用。もちろんこれらのすべての作業は〈Artisans de Genève〉が抱える熟練したスイスの時計職人がオールハンドメイドで行っている。

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ひとりの顧客のために何人もの時計職人やデザイナーが腕をふるう。その体験自体がとてつもなくラグジュアリーだ。
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目に見える外装部分はもちろん、ムーブメント自体にも手を加えているため、〈ロレックス〉の純正サービスは受けることができない。

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時計職人の作業風景。
Artisans de Genève Rusty
ワンオフモデルゆえ、絶対にミスは許されない。
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プッシャーもヴィンテージスタイルのものを装備している。
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わずかにブラウンチェンジした文字盤と琥珀色のインダイヤルのカラーコンビネーションが最高にクール。

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ヴィンテージウォッチファン垂涎の「Rusty」は、時計史上に残る傑作と言っていいだろう。

人と地球の力により生まれた本当に特別な時計

スケルトン仕様のモダンな「La Montoya」とは180度違うヴィンテージテイストのデザインと加工が施された「Rusty」は、ここ数年の間に異常なほど盛り上がったヴィンテージ・ロレックスブームへのひとつの回答と捉えることもできるのではないだろうか。ベースとなったモデル自体は自動巻きの第2世代なので比較的現代的な個体なのだが、その面影がほとんどないほど見事に「古い時計」に化けている。
オリジナルのヴィンテージウォッチの自然な経年変化が素晴らしいのは言うまでもない。しかし、熟練職人たちがアイデアを出し合い、ハンドメイドで繊細な加工を施したうえで地球上の特殊な環境の力を借りて完成する「Rusty」には、人類の英知が詰まっているし、強いロマンを感じる。オーダーした顧客にとってはこれ以上のモノなんて考えられないくらい至高の逸品だろう。
〈Artisans de Genève〉「Rusty」は先に述べた通りワンオフモデルなので、今後の販売の予定はない。ただし、公式サイトではウェイティングリストに名前を加えることができるようなので、気になる方はこちらから応募してみてはいかがだろうか。
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ITEM CREDIT
  • Artisans de GenèveRusty

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